スウォッチ、AIデザインツール「AI-DADA」発表 2分で唯一無二の時計を創造

2025年11月21日、スイスの時計ブランド・スウォッチ(Swatch)は、AIを活用した次世代パーソナライゼーションツール「AI-DADA」を発表した。
スウォッチは、 ユーザーが想像力を使って唯一無二の腕時計を創り出せる新たな体験を提供する。
AIが創造性を解き放つ スウォッチが新ツール「AI-DADA」導入
21日、スウォッチはAIを活用したデザインツール「AI-DADA」を公開し、誰もが直感的な操作で自分だけの時計をデザインできる環境を整えたことを発表した。
AI-DADAは「芸術的知能(Artistic Intelligence)」という概念を基盤に、ユーザーが白紙のキャンバスから自由に発想を展開できる仕組みを備える。
ログイン後、ユーザーが入力したアイデアをAIが視覚化し、2分以内にオリジナルデザインを生成する。
デザインスキルを持たない一般のファンでも、創造の過程を楽しみながら唯一無二の作品を手にできる点が特徴だ。
完成したデザインは、インデックスやムーブメントの色を自由に選べるほか、ケース裏面には「1/1」の刻印が施される。
これは「世界に一つだけの時計」であることを象徴する遊び心ある演出だ。
また、すべてのユーザーには1日に3つのプロンプトが与えられ、各トライが特別な「クリエイティブ・チャレンジ」として楽しめるように設計されている。
スイス公式サイトでの展開を皮切りに、2026年以降は多国展開も予定されている。
創造の民主化へ AIが個人の感性を形にする時代
AI-DADAの登場は、時計業界のみならず、製品パーソナライゼーションのあり方を変える可能性がある。
従来、デザインは専門知識を持つデザイナーの領域だったが、AIを介すことで創造行為が一般ユーザーにも開かれていくかもしれない。
誰もが自身の感性をデジタル上で具現化し、製品の共同制作者として参加できる時代が本格化するだろう。
一方で、AIが生成するデザインの著作権や独自性をどのように定義するかという課題も残る。
AIが創作の一部を担う以上、作品の「作者性」や「価値」をめぐる議論は避けられないと考えられる。
とはいえ、AI-DADAは創造を特権から日常へと広げる第一歩となるだろう。
今後は、他のファッションブランドや工業デザイン分野にも波及し、AIが個人の感性を具現化する新しい創造文化を形成していく可能性が高い。
スウォッチが提案する「芸術的知能」の理念は、AIと人間の共創を軸にした次世代ブランド戦略の方向性を象徴しているといえる。
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