エヌビディアGPU密輸事件 米司法省がAI半導体の違法輸出で4人を起訴

米司法省は、エヌビディア製のAI向け半導体を中国へ違法に輸出した疑いで、関係者4人を起訴したと発表した。国家安全保障に関わる技術流出を防ぐ狙いがあるとみられる。
エヌビディア製GPUを中国へ密輸疑惑 4人起訴の実態
20日、米国の U.S. Department of Justice(司法省)が、米半導体大手 NVIDIA Corporation 製の画像処理用半導体(AI用途)を中国へ違法に輸出した疑いで、同国籍の中国人2人を含む計4人を逮捕・起訴したと発表した。
彼らは2023年から今年にかけて、タイやマレーシア経由で半導体を中国に密輸し、少なくとも389万ドル(約6億1千万円)相当の送金を中国側から受け取っていたという。
発表によると、対象半導体は人工知能(AI)用の処理能力を備え、米国が対中輸出規制(※)の対象としている技術であった。
司法省は、中国が2030年までにAI分野で世界を主導することを目標に米国の先端技術を求めていると指摘し、これらの技術が国家安全保障上の懸念の対象になっていると説明している。
※輸出規制(Export Control):国家安全保障などの観点から、特定の技術・製品を他国に輸出することを禁止または許可制とする制度。
国家安全保障と企業戦略の交差点に立つAI半導体産業
今回の起訴は、米国がAI半導体の輸出規制を通じて国家安全保障を守るという明確なメッセージを発した点で意義が大きいと言える。
技術流出を防ぎ、AI分野における優位性を維持できる可能性が高まった。
一方で、企業にとっては法的リスクと監査コストの増大という負担が避けられないと考えられる。
特にグローバル展開を行う半導体企業は、複雑化する規制環境に迅速に対応する必要があるだろう。
今後は、米中対立を背景に技術移転や供給網をめぐる国際ルールの再編が進むとみられる。
米国は同盟国との連携を強化し、「安全保障と技術の一体化」を柱とした新たな経済圏を形成していく可能性がある。
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