電通総研×テックタッチ、AGCの人事システムにAI型DAPを導入 業務効率を大幅改善

電通総研とテックタッチは、AGCの人事システムにAI型デジタルアダプションプラットフォーム「テックタッチ」を導入した。
全従業員約8,000名を対象に、定型質問の削減と約1,000時間分の生産性向上を実現したという。
AIガイドで人事手続きを効率化 AGCが「テックタッチ」を採用
11月20日、電通総研とテックタッチは、AGCの人事システム「POSITIVE(ポジティブ)」にAI型デジタルアダプションプラットフォーム(DAP※)「テックタッチ」を導入したと発表した。
AGCは、中期経営計画「AGC plus-2026」のもと、デジタル変革と人的資本経営の両立を推進している。
その一環として、AGCは人事システム運用における操作ミスや問い合わせ増加の課題解決を図るべく、電通総研とテックタッチの支援を受けてAI型DAP「テックタッチ」を導入した。
新システムでは、年末調整や結婚・転居といった年1回程度の手続きでも、画面上にリアルタイムで操作ガイドが表示される。
専門用語の解説や自動転記機能により、入力ミスを防止し、申請時間の短縮を図る。
電通総研はAGCに長年「POSITIVE」を提供しており、今回の導入では「テックタッチテンプレート for POSITIVE」を活用することで導入プロセスの効率化と早期立ち上げを実現した。
導入後の調査では、4か月間で約1,000時間分の生産性向上を確認。
ユーザーアンケートでは、約65%が「操作がしやすくなった」と回答するなど、操作性に対する肯定的な評価が示された。業務効率化と利用体験の改善が同時に進んだ形だ。
電通総研とテックタッチは、今回の導入効果を踏まえ、「POSITIVE」向けテンプレートの機能拡充やデータ分析支援を進める方針を示している。
※デジタルアダプションプラットフォーム(DAP):業務システムの操作画面上でガイドを表示し、ユーザーの操作支援や業務定着を支えるツール。
AGC事例に見る、AI活用型業務支援の次の一歩
AI型DAPの導入がもたらす最大のメリットは、既存システムを改修せずに業務効率を向上できる点だろう。
AGCの事例では、人事システム操作をAIガイドが支援することで、生産性向上を実現した。
これは、現場レベルの課題解決に直結する成果であり、同様の課題を抱える他社への波及効果も期待できる。
一方で、AIガイドが利用者のスキルや理解度に合わない場合、逆に混乱を招くリスクも考えられる。
AI型DAPは一度導入して終わりではなく、継続的なアップデートと改善を要するため、運用フェーズでの人材育成や社内フィードバック体制の整備が不可欠となりそうだ。
また、AIが学習するデータの品質や偏りがガイド内容に影響を及ぼす可能性も指摘される。
今後は、AIがユーザーの操作履歴や業務文脈を分析し、先回りして最適な手順を提示する「予測型ガイド」への進化も見込まれる。
業務支援の自動化が進むことで、AI型DAPは単なる操作補助から「業務ナビゲーションインフラ」へと発展していく可能性がある。
両社が他業種への展開を進めるなかで、会計・営業・調達など部門横断的な導入が広がれば、日本企業のDX推進における新たな転換点となりそうだ。
関連記事:
電通総研、生成AIソリューションを拡張 業務ごとに最適LLMを選択可能に

塩野義製薬、調達購買プラットフォームに「テックタッチ」を採用し業務効率化を推進












