Aave App、DeFiで高利回りを実現 年利9%貯蓄アプリを発表

分散型金融(DeFi)プロトコル「アーベ(Aave)」の主要開発元であるアーベラボ(Aave Labs)が、新たな貯蓄アプリ「Aave App」を公表した。
米国ユーザーには最大年利9%、他国では最大6.5%の利回りを提供し、従来の銀行預金を上回る収益性を打ち出している。
米国で最大年利9%を実現 複利運用と残高保護も導入予定
17日、分散型金融(DeFi)プロトコル「アーベ(Aave)」の主要開発元であるアーベラボ(Aave Labs)が、新たな貯蓄アプリ「Aave App」を公表した。
Aave Appは、ユーザーが銀行口座やデビットカード、ステーブルコインを通じて入金し、リアルタイムで利息を得られる貯蓄アプリである。
利息は秒単位で複利計算され、アプリ上でいつでも正確な増加額を確認できる。
これにより、従来の月次払いや最低預入期間といった制約を排除し、流動性と効率性を両立した設計を実現している。
さらに、米国では本人確認(KYC)完了や自動入金設定、友人招待など、ユーザーの行動に応じて金利が上乗せされる「レートブースト」機能を備える。
Aave Appの説明ページを見ると、現行の早期アクセス版では「ベース6.00%+Auto Saverによるブースト0.50%=最大6.50%APY」とされ、今後は追加のブースト手段が導入される見込みだ。
また、Aave Labsは最大100万ドル(約1億5,000万円)までの残高保護プログラムを導入予定としており、正式ローンチ時に保険会社との提携条件を公表する方針を示している。
この仕組みにより、過剰担保を基盤とするAaveプロトコルの信頼性を担保しつつ、ユーザーの資産を100%以上の価値で裏付ける体制を整える。
一方、Auto Saver機能を活用すれば、定期的に自動入金を行いながら貯蓄目標を達成できる仕組みも備える。
目標達成時には追加の利回りが付与されるため、利用者の貯蓄意欲を促す設計となっている。
Aave Appが描く「ポスト銀行」時代の可能性
Aave Appの強みは、DeFiの透明性を保ちながら高い資本効率を実現している点にあるだろう。
特に、ユーザー行動に応じて金利が上昇する「レートブースト」機能や、リアルタイムで利息を確認できるUI設計は、金融サービスの新しい標準を形成する可能性がある。
ただし、プロトコルの安定性やスマートコントラクトの安全性に依存する構造には課題が残るとみられる。
特に、市場の変動やハッキングによる影響を完全に排除することは難しく、信頼性の確立には時間を要するかもしれない。
加えて、現状では地域制限や保険制度の未整備といった障壁もあり、普及の速度を鈍化させる要因になり得る。
今後、Aave Appが保険会社との連携や規制対応を進め、制度的な信頼を確立できれば、銀行預金の代替として認知される可能性がある。
DeFiが日常の金融行動に自然に組み込まれるかどうかは、今後数年の実績と利用者体験にかかっているだろう。
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