ポリゴン、マスターカードと連携し本人確認済みユーザー名送金基盤を導入

2025年11月18日、米ポリゴン・ラボはマスターカードおよび決済企業マーキュリオと連携し、同社の本人確認済みユーザー名送金基盤「Mastercard Crypto Credential」をセルフカストディ型ウォレット向けに提供すると発表した。
本人確認済みユーザー名で暗号資産の受取が可能に
18日、ポリゴン・ラボは、マスターカードが提供する「Mastercard Crypto Credential(MCC)」をポリゴン上の自己管理ウォレットでも利用できるようにすると明らかにした。
MCCは長いウォレットアドレスの代替として、本人確認済みのユーザー名(エイリアス)を用いて暗号資産を受け取れる点が特徴である。
利用者はマーキュリオによるKYCを経てエイリアスを取得し、自身のウォレットと紐付けることで、送受信の操作性が大きく改善するとされる。
希望者には、本人確認済みであることを示すソウルバウンド型クレデンシャルも発行される。
これはポリゴンチェーン上で保持され、対応サービスが認証状態を参照できる仕組みとなるため、ID連携を必要とするWeb3サービスの利便性向上につながるとみられる。
ポリゴンが統合先として選ばれた背景には、取引手数料の低さや高速処理といったチェーン特性がある。
同社は「リオ(Rio)アップグレード」により、再編成リスクを抑えた高いファイナリティを実現し、今後は1秒あたり5,000件規模の処理性能を目指す計画を示しており、決済用途での信頼性向上に取り組んでいると説明している。
また、同日には欧州のネオバンク「レボリュート」との統合も発表されており、USDCやUSDTの送受信やPOLの取引・ステーキングなど、ポリゴンを基盤とした決済・認証関連の利用事例が広がりつつある状況が示された。
本人確認送金の普及が進展へ 利便性向上と一元管理の課題も
今回の統合により、暗号資産送金のユーザー体験は大きく変わる可能性がある。
煩雑だったアドレス入力の手間が軽減され、銀行振込に近い感覚で資金を扱えるようになれば、一般ユーザーが暗号資産を利用する際の心理的な障壁も下がりそうだ。
特に、本人確認済みIDをセルフカストディ型ウォレットに組み合わせる取り組みは、Web3領域で不足していた信頼性を補う仕組みとして注目できる。
一方で、本人確認情報やユーザー名を一元的に扱う設計には慎重な検討が求められるだろう。
利便性が高まる反面、認証基盤を担う特定事業者への依存が強まり、障害時の広範な影響や情報参照の範囲をどう制御するかが課題として浮上しそうだ。
また、ソウルバウンド型クレデンシャルの普及が進めば、複数サービス間でのデータ連携が加速し、プライバシー管理の基準整備が一段と重要になるとみられる。
本人確認済み送金が広がり、USDCやUSDTといった主要ステーブルコインを日常決済にも利用しやすくなる環境が整えば、暗号資産の消費者利用はさらに拡大する可能性がある。
こうした枠組みが決済インフラの新たな標準として定着するかが、今後の焦点となりそうだ。
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