セールスフォースが会話型AI接客を国内投入 商品探索から決済まで一気通貫で支援

2025年11月18日、株式会社セールスフォース・ジャパンは、AIエージェントが顧客と自然な対話を行い、商品発見から購入完了までを支援する「コマース向けAgentforce」の国内提供を開始した。
AIエージェントが購買体験を支援 Guided Shoppingを日本で展開
Salesforceは、サービス、マーケティング、セールス領域で自律型AIエージェント(※)基盤「Agentforce」を展開している。
今回、SalesforceはAgentforceをコマース領域に拡張する。
その第一弾として「Guided Shopping for B2C Storefronts」の提供を18日に開始した。
同機能はB2C Commerce上で動作し、顧客の要望や好みを会話形式で把握しながら、商品提案から比較、決済までを一貫して支援する仕組みである。
企業は既存のB2C Commerce環境に設定を加えるだけで短期間の導入が可能だ。
同社レポートによると、消費財業界では需要変化や価格競争の激化といった課題があるという。
さらに、45%の企業が利益ある成長の実現が難しいと回答する一方、約9割の業界幹部がAIエージェントを「今後2年以内に競争に不可欠」と評価しており、購買体験の最適化に向けたニーズが高まりつつあるとされている。
Guided Shoppingでは、チャット内での比較検討からApple Pay/Google Pay(Adyen経由)による決済まで完結できる。
顧客はページ遷移の負担なく購入でき、企業側はオンラインで店舗スタッフのような接客を再現可能だ。
多言語対応により、国内外のブランドも市場ごとの体験を最適化できる点が強みとなる。
※AIエージェント:自律的に判断・行動するAIシステムの総称。
導入が進むAI接客 成果拡大の期待とリスク管理の要諦
コマース向けAgentforceの導入は、企業の購買体験改善に複数の利点をもたらすと考えられる。
AIが顧客の目的や嗜好を把握することでレコメンド精度が高まり、購買率や平均注文額の向上が期待できる。
問い合わせ対応の自動化によってサポート業務の負荷が軽減される点も企業にとって大きなメリットとなりそうだ。
一方で、AIが商品提案を担う以上、誤案内が生じた際の説明責任が課題となり、アルゴリズムの透明性確保は欠かせなくなるはずだ。
さらに、会話を通じて蓄積されるデータの性質から、プライバシー保護やデータ管理の厳格化が求められる場面も増えそうだ。
また、多言語対応を前提とした展開が進めば、地域ごとの規制差に応じた調整コストが発生し、運用負荷が増すことも想定できる。
将来的には、AI接客がECサイトやアプリの標準機能として定着する可能性がある。
複数チャネルを統合した購買体験を構築しやすくなることで、企業はより精緻な顧客理解を基盤にした販売戦略を展開しやすくなるとみられる。
Salesforceが導入支援を強化することで、デジタル接客の高度化が一段と加速する展開も考えられる。
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