パナソニック コネクトがサステナビリティ報告 CO2削減と人的資本を強化

2025年11月18日、パナソニック コネクト株式会社(東京)は「サステナビリティレポート2025」を公開し、CO2排出削減や人的資本経営、グローバル人材育成に関する最新の取り組みと目標を示した。
CO2削減と人的資本KPIを拡充 海外事例も多数掲載
パナソニック コネクトが公開した最新レポートは、前年版から内容を拡大し、サプライチェーン全体のCO2削減や労働環境改善に寄与する事例を数多く取り上げている。
タイ食品大手企業の廃棄物を15%削減した取り組みや、「NX・NPロジスティクス」の倉庫作業時間の30%短縮見込みなど、ソフトウェアとハードウェアを組み合わせたソリューションの効果を具体的に示した点が特徴である。
また、企業価値向上の基盤と位置づける人的資本経営に関しても、主要KPIを更新した。
社員の付加価値(※)については、2023年度比1.3倍を目指す目標を掲げ、担当業務と戦略の関連性理解度については、2027年度に93%を目標とする新たな指標を設定した。
従業員エンゲージメントも2027年度に80.0から82.0を目指す方針を示し、社員の成長実感や働きがいを高める施策を継続する姿勢を明確にした。
さらに、グローバルな協働体制の強化も重要な柱として掲げられた。
異文化環境での対応力を高めるため「Connect Global Leadership Program」を2024年から展開し、海外チームとの共同開発や短期アサインを通じてリーダー層の育成を加速している。
SCM(サプライチェーンマネジメント)領域ではリスキリングや海外研修を活用し、次世代のソリューション人材を体系的に育てる方針を示した。
※付加価値:従業員一人あたりのEBITDAに基づく指標。2027年度に2023年度比1.6倍を目標。
脱炭素と人材強化の相乗効果 競争力向上へ期待と課題
今回のレポートで示された取り組みは、同社が脱炭素と人的資本強化を同時に進める方針をより鮮明にしたものと受け止められる。
CO2削減に関する具体的な成果が積み上がれば、顧客企業の環境・経済両面の価値向上に寄与し、それがパナソニック コネクトの事業優位性の強化につながる展開も想定できる。
一方、人的資本領域では、KPIの高度化に伴い施策の実効性が問われる場面が増えるとみられる。
エンゲージメント向上やリスキリング定着には継続投資が欠かせず、多様な文化・労働環境に合わせた運用設計も重要となるだろう。
こうした体制整備が進めば、海外拠点を含む組織全体の技術力・ソリューション開発力を底上げする効果も期待できそうだ。
脱炭素と組織改革を並行して進める戦略は難度が高いが、両面が補完的に作用すれば、中長期的な競争力向上に結びつく可能性がある。
今後は、KPI進捗の透明性や施策の検証プロセスがより重視され、レポートの実効性が市場の注目を集める局面が増えるとみられる。
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