スイ財団、USDsui発行へ ネイティブステーブルコイン整備

レイヤー1ブロックチェーン「スイ(Sui)」を支援するスイ財団(Sui Foundation)は、2025年11月12日に独自ステーブルコイン「USDsui」を年内に提供する計画を公表した。
米Stripe傘下のブリッジ(Bridge)の発行基盤を採用し、スイ全体で統一的な決済手段を整備する狙いがある。
スイ財団、初のネイティブステーブルコイン「USDsui」を年内の提供開始へ
スイ財団は、スイエコシステム専用に設計したステーブルコイン「USDsui」を年内に発行すると明かした。
スイで初のネイティブステーブルコインとなり、ウォレットやDeFi、アプリケーションで横断的に利用できるようになる。
これまでUSDCなど外部通貨が中心だったが、独自通貨の導入により流動性が安定し、決済体験の統一が進むと見られる。
USDsuiは、スイのオーダーブック型流動性レイヤー「ディープブック(DeepBook)」との連携を見据えた設計が採用される。
これにより、開発プロジェクトは決済機能を容易に組み込めるようになり、越境決済や送金、オンチェーン流動性の供給など多用途で活用が想定される。
発行には、Stripe傘下のブリッジが提供する「オープンイシューアンス(Open Issuance ※)」を使用する。
同基盤はPhantomの「CASH」やMetaMaskの「mUSD」、Hyperliquidの「USDh」など複数のステーブルコインの採用・発行計画に活用されており、相互運用性を備える点が特徴とされる。
また、スイ財団から支援を受けるSUIGが発表した「suiUSDe」「USDi」といった通貨構想も別途存在しており、USDsuiはそれらと並んでエコシステムを支える基盤的なステーブルコイン群の一角を担う位置づけとなる。
米国のステーブルコイン規制法案「GENIUS Act」への準拠を見据えた設計が想定されており、規制要件に沿ったガバナンス体制の整備が意識されているとみられる。
※オープンイシューアンス(Open Issuance):ブリッジが提供するステーブルコイン発行基盤。共通規格で通貨発行でき、発行同士が互換性を持つ点が特徴。
USDsuiがもたらす利点と課題、スイ拡大の行方はどうなるか
USDsuiの導入によって、スイ上の決済が一元化され、開発者・利用者双方の利便性が大幅に向上する可能性がある。
統一通貨が整備されればアプリ間での価値移転が滑らかになり、DeepBookとの連携による流動性強化も期待できる。
さらに、発行収益をエコシステム還元に回す構造は、開発投資を継続的に呼び込む基盤となるだろう。
一方、複数のステーブルコインが並立することで流動性が分散し、どの通貨を基軸にするかが利用者の判断に委ねられる点はリスクとなりうる。
加えて、GENIUS Actをはじめ各国の規制が運用に影響を及ぼし、国際展開のスピードを左右する可能性も残る。
それでも、急増する送金需要やアプリ開発の広がりを踏まえると、USDsuiはスイの成長を加速させる重要な基盤通貨になると考えられる。
今後は、相互運用性と規制適合性をどこまで高められるかが、スイエコシステムの発展を左右する焦点になるとみられる。
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