GMO、AIエージェント活用「一騎当千プロジェクト」始動 活用評価指標を導入

2025年11月12日、GMOインターネットグループが「AIエージェント活用・一騎当千プロジェクト」の開始を公表した。
AIエージェントの体験機会と業務活用を全パートナーに広げ、独自の評価指標でAI活用状況を把握することを柱とした施策であり、同社が掲げるハイパーオートメーション化に向けた取り組みの一環と位置づけられている。
全社的なAIエージェント活用を促進、評価指標を新設
GMOインターネットグループは、生成AIやAIエージェント(※1)を組織横断で活用するための「一騎当千プロジェクト」を始動した。
同社は「GMO AIブースト支援金」により有料AIツールを利用しやすい環境を整えてきたが、今回のプロジェクトでは、そうしたツールに搭載されたAIエージェント機能の活用状況を高めることに焦点を当てる。
新たに導入される「GMO AI Agility Rank(GAAR)」は、業務におけるAIの活用度合いや即応性を S、A、B、C、Dの5段階で示す社内指標である。
業務変革の中心となるAI人材を正しく評価する目的があり、評価結果はフィードバックと合わせて人事制度への反映も予定されている。
さらに、AIエージェントの利用度を定量化する独自指標「APP(Agents Per Person)」を導入し、1人あたりが使うエージェント数を継続的に追跡する。
社内リスキリング制度「虎の穴」にはAIエージェント活用講座を追加し、修了者には社内オンライン名簿でバッジを付与するという。
同社は11月末までに「全パートナーのAIエージェント体験率100%」を、12月末までに「業務活用率100%」を達成する目標を掲げる。
こうした取り組みは、2027年11月30日までに「日本で最もハイパーオートメーション(※2)化された企業グループ」を目指すという長期目標を支える施策として位置づけられている。
※1 AIエージェント:ユーザーの指示をもとにタスク分析、計画立案、実行など複数のタスクを自動で行う自律型AI。
※2 ハイパーオートメーション:AIや自動化技術を組み合わせ、業務プロセス全体を自律化・最適化する概念。
AIエージェント普及で進む業務自律化と評価モデルの変化
AIエージェント活用が本格化すれば、日々の業務プロセスが高度に自動化され、同社の生産性は一段と向上するだろう。
特に、APPによって現場ごとの改善余地を可視化できれば、従来の属人的な判断を排し、組織全体を最適化することにもつながりそうだ。
一方で、GAARのような指標を軸にAI活用度を数値化する取り組みは、職種による習熟速度の違いが評価に影響しやすく、運用設計の巧拙によっては不公平感が生じる可能性も否めない。
また、エージェント活用が形式的な利用記録に寄りがちになり、実際の成果と乖離する懸念も残ると考えられる。
とはいえ、AIエージェント前提の業務モデルは国内でも確実に広がりつつあるため、今回の取り組みが評価制度や働き方の標準化に影響を与える展開も想定できる。
「即応性を指標で捉える」という発想自体は普遍性が高いと考えられるため、GMOが示す「即応性の可視化」は、ハイパーオートメーション時代の競争力を測る指標として、他企業にも波及していくだろう。
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