探究学習×ガチャで日本文化を学ぶ ShoProとタカラトミーアーツが企業連携教材を無償提供

2025年11月13日、東京都の小学館集英社プロダクション(ShoPro)は、タカラトミーアーツと連携した公教育向け探究学習プログラムの無償提供を開始した。
日本文化をカプセルトイ化する企画を通じ、小中学生の主体的な探究学習を支援する。
全国の小中学校へ“ガチャ企画”探究教材を無償提供開始
ShoProは、COMPASSと共同開発する探究学習プラットフォームの第七弾として、タカラトミーアーツと連携した新教材の提供を始めた。
本プログラムは、児童生徒が日本の文化や地理、歴史、産業に関する知識を活かし、日本の魅力を世界に発信するオリジナル“ガチャ(※)”の企画に挑戦する内容となる。
教材は、小学校5年「国土と国民生活」、小学校6年「グローバル化と日本の役割」などの単元と関連づけ、思考・判断・表現力を育む探究学習として設計されている。
ガチャの仕組みや企画のポイントは、実際に商品を展開するタカラトミーアーツから学ぶ構成で、企業の視点を取り入れながら学びを深める点が特徴だ。
ShoProは長年の教育事業で培った教材開発ノウハウを有し、COMPASSの学校チャネルを活用することで、教材を全国の小中学校へ無償で届ける体制を整えている。
授業では日常的に接している教師が教材を扱うことで、生徒が企業活動をより身近に理解しやすい構成となっている。
教育内容を実社会の事例と結びつける設計とし、授業で扱った内容を家庭で共有しやすいよう工夫した点も特徴としている。
※ガチャ(カプセルトイ):硬貨を投入し、カプセル入り玩具を購入する販売方式。
日本発祥で、タカラトミーアーツが登録商標を保有。
企業連携教材がもたらす利点と残された課題
“ガチャ企画”教材の導入は、企業の実例をそのまま学習素材として扱える点で、探究学習に新しい可能性をもたらしそうだ。
特に、カプセルトイという身近な商材を起点にすることで、文化や産業など抽象的なテーマを具体的な形で捉えやすくなり、児童生徒の理解を深める契機になり得る。
企業視点を踏まえた設計により、商品企画のプロセスを疑似体験できる点も、教科書では得にくい社会観の形成につながりそうだ。
家庭で話題が広がりやすい点も、学びを生活圏へ循環させる効果をもたらすだろう。
一方、課題も残る。
企業連携型教材は学校カリキュラムとの整合性確保が難しく、授業設計の負荷が増す場面が想定できる。
探究学習の経験が少ない教師にとっては扱い方に迷いが生じ、学習成果に差が出る可能性も否定できない。
今後は、このモデルが企業の専門領域を学習へ開放する流れを加速させ、教科横断的な学びを広げる契機となるかが焦点になるだろう。
地域資源や他産業を扱う教材が増えれば、学校教育が社会の変化とより密に連動する展開も考えられる。
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