3人に1人が生成AIで“失敗”経験 LiKG調査にみる現場の課題と学び

2025年11月12日、東京都渋谷区のLiKGが、生成AIを業務で利用する全国200名を対象とした調査結果を公表した。
3人に1人がAI活用で失敗を経験しており、誤情報の扱いや指示設計の難しさが課題として浮上した。
一方で、活用者の9割超が「今後も使いたい」と回答しており、AI活用を前向きに捉える傾向も確認された。
生成AIの“しくじり”が可視化 誤情報、修正負荷、指示の難しさが顕在化
調査によれば、生成AIの利用目的として最も多かったのは「業務効率化(時間短縮)」で62%を占め、「文章作成・要約」(61%)、「アイデア出し・企画書作成」(52%)が続いた。
プログラミングやコード生成も41%にのぼり、IT専門職に限らず幅広い業務で活用が広がっている。
一方、30%が「AIで失敗した」と回答した。失敗要因としては誤情報に関するものが最多で、「誤った情報をもとに資料を作成した」「支離滅裂な文章になった」「コード生成を依頼したらエラーを吐いた」といった、AIが誤った内容を生成したことに起因するトラブルが挙げられた。
確認作業の負荷も顕著だ。「提案資料の誤字がいくつかあった」「生成資料を全部修正し、自分で作るのと変わらなかった」「回答をいちいち確認して合っているか見ないといけず、時短になっていない」といった声が寄せられ、想定していた時間短縮効果が得られなかったケースも報告された。
さらに、プロンプト(指示文)が曖昧なままだと精度が低下し、「疑問点を変えながら何度も質問したが、回答内容が異なり時間がかかった」「抽象的すぎて求めていたものと全く違う内容が出た」といった声も寄せられた。
AIが生成した内容に依存しすぎた結果、「自分の知識になっておらず、説明がうまくいかなかった」というケースも報告されている。
LiKG所属ライターからも、「AI任せで文章の人間味が失われた」「抽象的な指示では期待と異なる出力が返り、修正に時間を要した」など、現場での試行錯誤が語られた。
人とAIの役割再編へ 求められるスキルと組織対応
生成AIの活用は、調査で利用目的の上位に挙がった「文章作成・要約」や「企画書の初稿づくり」といった業務領域で、今後も効率化効果を発揮するとみられる。
これらは多くの利用者が実際に活用していた項目であり、短時間で成果物を形にできる点が、現場にとって引き続き大きな利点となりそうだ。
特にアイデア出しのプロセスでは選択肢を広げやすく、企画の質やスピードを押し上げる役割も期待できる。
しかし、デメリットも依然として重いとみられる。
誤情報の混入や文脈破綻による品質低下は完全には避けられず、ユーザーが検証に手間を割く場面は当面続く可能性がある。
省力化のつもりが確認作業に追われるケースも残り、プロンプトの曖昧さが出力の揺らぎを招く構造も容易には変わらないと考えられる。
今後は、生成AIの定着に向けて「人側の能力向上」が鍵を握ると予想できる。
企業がプロンプト設計力や検証スキルを体系的に育成し、内部ルールやガイドラインを整備すれば、現場の混乱は徐々に抑えられていくはずだ。
さらに、モデル改善や誤情報抑制の技術が進めば、意思決定補助や発想支援といった高度な領域まで活用の幅が広がる展開も見込まれる。
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