NTTテクノクロスら、広島で「AKB48推し活×NFT活用の地域活性化」実証実験

2025年11月12日、NTTテクノクロスはJTB、ビットトレード、DHと共同で、ブロックチェーン技術を活用した「推し活×地域活性化プラットフォーム」の事業化に向けた実証実験を実施したと発表した。
AKB48ファンを対象に、地域回遊とデジタルコンテンツ取得を組み合わせた新たな体験の効果を検証した。
AKB48公演に合わせ広島でNFT活用の地域回遊施策を展開
NTTテクノクロスは、9月15日開催の「AKB48 20th Year Live Tour 2025〜PARTYが始まるよ〜」広島公演に合わせ、ファンの地域回遊を促す実証実験を行った。
ファンは事前に「ファンNFT(※)」を取得し、広島の対象ショップを訪れて各店舗のコンテンツ取得用QRコードを読み取ることで、限定デジタルコンテンツを獲得できる仕組みが提供された。
各店舗に設置されたQRコードを読み取ると、NTTテクノクロスが開発したNFT連携技術により、保有NFTに応じてアクセス可能なコンテンツが自動的に判別される仕組みである。
この技術は、Web3上のNFT所有情報をWeb2の「アクセストークン」として扱えるため、Web2管理下の様々なコンテンツとの連携が容易になる。
今回の実証では、ファンの活動や購買の履歴をNFTという信頼性の高いデータとして記録し、今後のコラボレーション企画や次回イベントの検討などに活用できる仕組みも取り入れた。
参加者アンケートでは94%が「次回も参加したい」と回答し、「観光の参考になった」「これまで知らなかった情報に触れることができた」といった声が寄せられた。
参加ショップ側からは新規来店の増加や売上面での手応えが報告され、施策として一定の地域活性化効果がうかがえる結果となった。
NTTテクノクロス、JTB、ビットトレードの三社は、さらなる技術強化と商用化体制の構築を進め、追加の実証やプレ商用段階への移行を検討している。
※NFT(Non-Fungible Token):固有の識別子を持つデジタルデータで、デジタル上の所有証明として扱われる技術。
推し活が地域経済を動かす新たな展開
今回の実証結果を踏まえると、ファンの行動を地域の価値創出へ結びつける新たな枠組みとして期待できる。
ファン側にとっては、推し活と観光を同時に楽しめる体験が広がり、限定コンテンツが参加意欲を高める要因になるとみられる。
店舗にとっても、一過性のイベント頼みではなく、継続的な来訪につながる可能性が生まれ、地域回遊の促進にも寄与すると考えられる。
一方、NFTを活用した仕組みを商用化するうえでは、技術理解の不足や初期コスト、店舗側の運用負荷など、現場にのしかかる課題も残る可能性がある。
利用者のデジタルリテラシーによって体験価値が左右される点も避けにくく、誰でも直感的に使えるUI整備が求められていくとみられる。
そのうえで、複数地域や複数タレントを横断したスケール展開が進めば、ファンデータを活用した観光施策やコラボ企画が各地で活発化するだろう。
推し活文化が地域経済と結びつく動きは、今後さらに広がっていくと見込まれる。
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