埼玉県写真サロンの最優秀賞を取消 AI生成疑惑が撮影文化に波紋を呼ぶ

2025年11月8日、国内の写真コンテスト「第42回埼玉県写真サロン」(主催:全日本写真連盟埼玉県本部・朝日新聞社)において、最優秀賞作品「俺の頭だぞ!」の授賞が取り消されたと発表された。
受賞者自ら「自身が制作していない作品を応募した」と説明し、併せてAIで生成された可能性も指摘されている。
最優秀賞の取り消し理由 「自身が制作していない応募」で出典明かに
第42回埼玉県写真サロンにおいて、応募数319名、作品数743点の中から選ばれた最優秀賞作品「俺の頭だぞ!」だが、授賞後に外部から「応募作が本人制作ではないのでは」と指摘された。
調査の結果、受賞者から「自身が制作していない作品を応募した」と説明があったため、主催者側が授賞および関連記事の掲載を取り消す措置を講じた。
さらに、同作品に関して「AIを使用して作成された可能性がある」との疑義も寄せられているが、現時点では主催者側に明確な確認手法や対応基準が整備されていなかった。
選考プロセスでは画像検索等による確認は実施されていなかったとの説明がある。
AI時代の創作ルール整備が鍵に
AI生成技術の進展により、写真コンテストの運営は大きな転換期を迎えていると考えられる。
AIを作品に活用すれば、従来にない構図や光彩を生み出すことができ、表現領域の拡張が期待できるだろう。
多様な発想が参加のハードルを下げ、創作の裾野を広げる契機にもなり得る。
一方で、生成過程の不透明さや著作権の曖昧さが、審査の公正性や信頼性を損なう懸念もある。
特に、作品がどの程度AIに依存しているかを判断する仕組みが欠けていれば、トラブルの温床となる可能性が高い。
今後は、主催者が制作過程の開示義務やAI利用ルールを明文化し、審査基準の透明化を図る流れが加速するとみられる。
AIと人の創作をどのように共存させるかが、文化発展の鍵を握る局面となりそうだ。
全日本写真連盟埼玉県本部 「第42回埼玉県写真サロン入賞作品」
関連記事:
共同通信、AI加工写真を撤回 報道の信頼性と編集体制に改めて焦点

アニメ・出版17社と2団体、生成AI時代の著作権保護に関する共同声明を発表

集英社が生成AIサービスに抗議 作家の尊厳守る「厳正対応」を表明












