かんぽ生命、AI採点機能搭載の「ラジオ体操アプリ」を公開 健康習慣に“スマホ連動”の新潮流

2025年11月1日、国内で初めて、株式会社かんぽ生命保険が“公式”としての「ラジオ体操アプリ」の提供を開始した。
スマートフォンやブラウザで活用でき、AIによる体操の採点・改善フィードバック機能を備えている。
ラジオ体操公式アプリでAI採点・健康習慣をデジタル化
かんぽ生命は、1928年に制定されたラジオ体操の“いつでも・どこでも・だれでも”という精神を継承し、2025年11月1日付でアプリを公開した。
提供はスマートフォン(iOS/Android)およびブラウザ版で、契約の有無を問わず無料で利用可能である。
主な機能として、カメラ撮影によるユーザーの体操動作をAIが採点し、点数表示や改善点フィードバック、講師のお手本映像との比較や、ラジオ体操第1・第2の動画視聴機能が実装されている。
さらに、フレンド登録・スタンプ機能・ランキング表示・マイページによる過去点数・推移管理といったソーシャル・習慣化支援要素も盛り込まれている。
背景には、文部科学省が進める GIGAスクール構想(※)の端末環境対応のため、小学生利用を想定したブラウザ版も提供されている。
ラジオ体操は、かんぽ生命の前身である 逓信省簡易保険局が制定した国民運動であり、同社はその理念を「ラジオ体操によって国民が健康になり、寿命が伸び、幸福な生活を営むことができるように」という目的のもと継承・拡張してきた。
※ GIGAスクール構想:文部科学省が学校ICT環境整備を進め、「1人1台端末」や高速大容量通信環境を通じて、教育の質向上や個別最適・協働的な学びを実現する取り組み。
習慣化促進と社会的波及 – メリットとリスク両面からの分析
かんぽ生命による「ラジオ体操アプリ」は、AIによる採点とフィードバックを通じて、従来の感覚的な運動をデータで“見える化”する点に大きな価値があると言える。個人ごとにフォームや姿勢を数値で把握でき、継続的な自己改善を促すモチベーション設計は評価できる。
また、ランキング機能や交流要素を取り入れることで、単調になりがちな健康活動をゲーム感覚で楽しむこともできそうだ。
一方で、AI判定の精度が低下すれば、誤採点による不信感やモチベーション低下を招くおそれがある。
特に高齢者や子どもといった幅広い利用層に対しては、技術的バリアや体力差を考慮した設計が欠かせないと考えられる。
競争要素が過剰に働けば、健康増進の目的から逸脱する懸念も残る。
今後は、AIによる個別最適化と社会的包摂性の両立が鍵となるだろう。
企業の健康経営や学校教育、自治体の健康促進施策など、多様な場面での活用が進めば、「デジタル×健康習慣」の定着が加速する可能性がある。
さらに、保険サービスとの連動や行動データの活用により、社会全体のウェルビーイングを支える新たな仕組みへと進化していくかもしれない。
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