実物資産×RWAで自治体支援 新庄村とZoomARTが文化財循環を実証実験

2025年10月23日、国内の中山間地域である 岡山県新庄村と株式会社Collection Bank が提携し、 ZoomART Foundation によるRWA(Real World Asset:現物資産のトークン化)を活用した文化資産運用の自治体連携第1号案件を開始した。
新庄村の歴史的建造物「木代邸」をRWA化、自治体連携の第1号芽吹く
Collection Bankは、2020年に設立された資産管理・コレクション運用サービス企業であり、同社が展開する「COLLET」や「美術倉庫」などを通じて、美術品を中心としたコレクション資産の保管・管理を行っている。
一方、ZoomART Foundationは、2023年創設のプロジェクトで、アートを中心とするコレクションをバックアセットにしてトークンを発行するRWA(※)モデルをアジア市場向けに展開している。
今回、岡山県新庄村(人口約800人・真庭郡)に所在する歴史的建造物「木代邸」を対象に、文化資産を「保管される対象」から「資本として循環させる資産」へと再定義する実証実験が始まる。
新庄村は「地域の価値を未来につなぐまちづくり」を掲げており、このPPP(公民連携)モデルを通じて文化資産の保全・活用と観光振興・自治体財政の統合的支援を図る構えだ。
Collection Bankは、価値の定量化、運用の透明性確保、管理技術の提供といったインフラを提供する予定であり、同社初となる文化財保有自治体との連携案件が形となった。
※RWA:Real World Asset、現実世界の実物資産をトークンとしてブロックチェーン上で管理・流通させる仕組み。
RWA活用で見えるメリットとリスク 全国展開の鍵握るモデル検証
今回の取り組みにより、地方自治体が文化資産を活用して新たな収益源を確保し、観光資産としても活用できる可能性がある。
文化財という“眠る資産”を流通可能な資本に変えることで、維持管理費・修復費の負担軽減や地域ブランドの強化が見込まれる。
さらに、コレクション市場にRWAを導入してきたZoomARTモデルによって、アート・文化資産の流動化というマーケット知識の蓄積も期待できる。
一方で、リスクも考えられる。
文化財のトークン化は価値評価が難しく、流動性が保証されるわけではないと考えられる。
また、自治体が資産を「資本化」することで、所有と管理の在り方に新たな責任が生じるだろう。
加えて、地域住民・ステークホルダーにとって文化財の「売る・運用する」という概念が抵抗を伴う可能性もある。
本実証で得られる知見を基に、他自治体・文化財保有団体・教育機関へ横展開させる構想も掲げられているため、本件が全国的な文化資産循環モデルの確立へ向けた鍵となりそうだ。
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