野村HD子会社レーザーデジタル、SeiでRWAファンドをトークン化 KAIOがインフラ提供

2025年10月22日、野村ホールディングスのスイス子会社であるレーザーデジタル(Laser Digital)が運用するファンド「レーザーカーリーファンド(Laser Carry Fund:LCF)」が、レイヤー1ブロックチェーン「セイ(Sei)」上でトークン化された。
実世界資産(RWA)のトークン化インフラは、KAIOが提供している。
レーザーデジタル、Sei上で機関投資家向けファンドをトークン化
レーザーデジタルが運用するLCFは、同社の分離型ポートフォリオ会社「Laser Digital Funds SPC」に属するファンドである。
デジタル資産市場における金利差の歪みやステーキング利回りを活用し、価格変動の影響を抑えながら安定的な収益を狙う戦略が特徴だ。
同ファンドは2025年1月に機関投資家向けにローンチされており、今回のトークン化によりセイ上でのオンチェーン展開が実現した。
KAIOは今回、インフラを提供し、レーザーデジタルのファンドをセイ上でトークン化するプロセスを支援したという。
セイは高速なファイナリティ(確定性)とスケーラブルな構造を備えるブロックチェーンであり、これにより投資家はブロックチェーン上でリアルタイムにアクセスしやすくなるとされている。
KAIOはブラックロック(BlackRock)やブレバン・ハワード(Brevan Howard)など大手資産運用企業のファンドを相次いでトークン化しており、レーザーデジタルとの連携はその拡張線上にある。
規制整備と信頼性確立が鍵 トークン化の行方
レーザーデジタルのファンド・トークン化は、ブロックチェーンを実金融に統合する先駆的な事例として注目できる。
セイの高速処理とKAIOのRWA(※)インフラを組み合わせることで、資産の分割管理や即時決済が現実味を帯び、機関投資家にとって効率性と透明性を両立した運用基盤が形成されつつあると考えられる。
特に、オンチェーン上での監査や報告の自動化は、コンプライアンス負担を軽減する可能性が高い。
一方で、法制度の未整備やスマートコントラクトの安全性など、技術・規制両面の課題は依然残るだろう。
国際的な法的枠組みが確立されない限り、RWAトークンの発行・保有リスクを完全に払拭することは難しいと考えられる。
また、価格乖離や流動性不足といった懸念が、市場拡大の制約要因となる可能性もある。
今後は、各国の規制当局と連携しながら標準化を進め、信頼性を軸としたエコシステムを築けるかが鍵となりそうだ。
トークン化が金融市場の構造変革を牽引するには、スピードよりも検証精度を優先する姿勢が求められるだろう。
最終的には、オンチェーン資産と伝統金融の融合が「信頼と透明性を再定義する時代」を切り開く契機となるかもしれない。
※RWA(Real World Assets):不動産、ファンド、債券など実世界の資産をトークン化し、ブロックチェーン上で取引・管理を可能にする仕組み。
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