資生堂ジャパン、若年層&男性向けに“アバターPBP”ライブコマースを開始

2025年10月22日、資生堂ジャパンは公式ECサイト「SHISEIDO ONLINE STORE」にて、PBP(パーソナルビューティーパートナー)と最新アバター技術を融合した「アバターPBP」によるライブコマースを国内で試験展開すると発表した。
若年層および男性客層への接点を強化する狙いである。
アバターPBPでライブ接客、若年層&男性を狙う
資生堂ジャパンは、アバターを活用したライブコマースを10月22日から公式EC上で試験展開すると発表した。
PBP(パーソナルビューティーパートナー)が保有する美容・接客ノウハウと、アバター技術を組み合わせた「アバターPBP」により、顧客一人ひとりに寄り添った美容提案をライブ配信形式で行う予定だ。
ライブ配信中は、画面上に登場する女性キャラクター「M!ra(ミラ)」と男性キャラクター「Rai(ライ)」が、視聴者とリアルタイムで双方向にコミュニケーションを行い、紹介商品をそのまま購入ページへ誘導する仕組みも導入されている。
背景には、化粧品EC市場の拡大に伴い、単なる商品提供を超えて「ブランド体験」や「接客品質」、すなわちカスタマーエクスペリエンス(※)の向上が求められている点がある。
また、アバターというキャラクター性を持つ接客手法は、若年層に好まれる“コト体験”型の消費行動との親和性も高く、さらに男性化粧品市場の急成長を捉えて、男性客へのアプローチも明確に打ち出している。
こうして、従来のライブ配信ではリーチしづらかったユーザー層への接点拡大と、新たな購買体験の提供を目指す。
※カスタマーエクスペリエンス:顧客がブランド・サービス・接点を通じて得る総合的な体験。
デジタル接客革新の可能性とリスクを考察
このアバターPBP導入は、化粧品産業におけるデジタル接客の一大転換点となる可能性がある。
メリットとしては、リアル店舗では接触が難しい若年層や男性へのリーチを拡大できる点、対面に近い“パーソナルな美容相談”をオンラインに再現できる点が挙げられるだろう。
また、紹介商品をライブ画面から即購入ページに誘導することで、購買体験のスムーズ化とEC売上の拡大も期待できる。
一方で、リスクも無視できない。アバター接客が過度に“演出的”になった場合、ブランドの信頼性やリアルな美容専門性が希薄化する恐れがある。
また、ライブ配信という即時性を求める形式では、データ分析やプライバシー対応、配信トラブルなど運営上のハードルが高まる可能性がある。
さらに、若年層向けエンタメ型体験を強めるあまり、商品本体の価値訴求がおろそかになる懸念もある。
今後は、資生堂ジャパンが試験展開を通じて得るノウハウと顧客反応をいかに活用し、スケールアップを実現できるかが鍵となるだろう。
化粧品ECの新たな接客モデルとしての“アバター×PBP”の普及が成功すれば、他ブランドにも波及する可能性がありそうだ。
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