Copilotに教育AI「Teach」搭載 マイクロソフトが授業計画を自動化

2025年10月15日、米マイクロソフトの教育部門Microsoft Education Teamは、Microsoft 365 Copilotの新機能として教員向けAIツール「Teach」と生徒向け「Study and Learn」を発表した。
追加費用なしで利用でき、教育現場のAI活用を一段と加速させる。
授業計画から教材生成まで 教育向けCopilotが全面拡張
Teachは、Microsoft 365 CopilotのWeb版・Windows版・Mac版で利用できる教員支援AIツールである。
対象学年や科目を指定するだけで授業計画や学習活動を自動生成し、評価基準となるルーブリック(※)の草案も作成可能だ。
教員は生成された内容をもとに、項目を選択しながら教材を調整・編集できる設計となっている。
さらに、生徒の習熟度に応じて教材を修正したり、例文や関連クイズを追加したりすることもできる。
穴埋め問題などをAIが自動生成する仕組みも2025年11月から順次提供される予定である。
TeamsやOneNoteとの連携が強化され、授業資料の共有やフィードバックのやり取りが容易になったほか、課題単位でAI利用を制御する設定も可能だ。
一方、生徒向けの「Study and Learn」は、AIと対話しながら個別に学習問題を作成できる機能である。
画像入りのフラッシュカードやクイズなどを自動生成し、生徒は対話を通じて学習内容を確認しながら進めることができる。
こちらも追加費用なしで提供され、11月以降に段階的に展開される見通しだ。
加えて、マイクロソフトは推論エージェントの「Researcher」、データ分析の「Analyst」、調整機能「Copilot Tuning」、データ保護の「Copilot Control System」などを含む拡張版Copilotを12月から提供予定。
教職員と13歳以上の生徒が対象で、利用料は1ユーザーあたり月額18ドルとされている。
※ルーブリック:学習成果を評価する際に用いられる基準表で、到達度や成果を明示的に示すための指標を指す。
教育現場の効率化進む一方、AI依存リスクも課題に
今回の発表は、AIが教育現場の効率化を推進する象徴的な動きだろう。
授業計画や教材作成の自動化により、教員は創造的な指導や生徒対応に時間を割けるようになるとみられる。
これまで手作業で行ってきた業務が短時間で完結することで、教育の質向上と働き方改革の両立が期待できる。
しかし、AI生成教材の内容に依存しすぎることで、教育の個性が薄れる懸念もある。
生成結果の正確性や偏り、評価基準の画一化など、運用面の課題は今後も議論を呼ぶだろう。
特に、生徒データを活用する際のプライバシー保護や、AIが生徒の学習行動をどのように変化させるかといった倫理的視点も欠かせないと考えられる。
それでも、TeachやStudy and Learnの導入は、教育分野のAI活用を次の段階へ押し上げる可能性がある。
教員の業務効率化だけでなく、生徒一人ひとりに合わせた学習設計を支援する仕組みとして、AI教育の新たなモデルケースとなるだろう。
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