チームみらいの「みらい議会」AIで法案可視化、政治参加促進

2025年10月16日、政治団体チームみらいが、国会で審議中の法案を一覧表示し、AIで内容をわかりやすく解説する新プラットフォーム「みらい議会」を公開した。
法案の可視化と理解促進を目的とし、将来的には市民の意見を政治に反映する仕組みも実装する予定だ。
法案を一覧で表示、AIが内容を要約 政治情報へのアクセス格差を是正
チームみらいは、国会で現在検討中の法案を「見える化」するプラットフォーム「みらい議会」を発表した。
法案ごとに審議状況、改正の目的、影響を受ける団体、賛否の立場などを一目で確認でき、これまで分かりづらかった政治の現場を誰でも追えるようにした点が特徴である。
同サービスには3つの主要機能が搭載されている。
まず、専門用語をわかりやすい表現に翻訳する「やさしく」モードと、原文に近い「詳しく」モードを切り替えられる言語切替機能。
次に、AIアシスタント機能では、法案中の語句を選択すると、関連する内容の解説や質問への応答が得られる仕組みとなっている。
そして、全漢字にルビを自動付与することで、子どもや外国人など幅広い層が利用できる設計だ。
背景には、既存の国会データベースが形式上は公開されていても、内容が専門的すぎて一般市民には理解しづらいという課題がある。
みらい議会は、情報の非対称性を是正し「情報はあるが届かない」政治の現状を変える試みとして位置づけられている。
将来的に同団体は、台湾の「JOIN」に見られるような、国民が政策づくりに参加できる仕組みを日本にも根づかせたい考えだ。
その実現に向け、チームみらいは今後、法案への意見投稿機能やAIによるテーマごとの意見集約など、参加型の機能拡充を検討している。
AIが橋渡しする「理解」と「参加」の新構造
「みらい議会」の最大の利点は、AIが専門的な法案情報を市民に“翻訳”し、政治参加への障壁を下げる点にあるだろう。
要約や用語の平易化によって、政治を「自分ごと」として理解できる層が広がれば、政治的無関心の是正にもつながりうる。
AIが知識格差を補完する存在として機能すれば、社会の意思形成そのものがより多層的になる可能性がある。
一方で、AIが生成する情報には、今後も一定の偏りが生じる可能性があるだろう。
要約の際に文脈が誤って解釈されたり、意見集約の過程で特定の立場に傾くことも想定できる。
政治分野においては、データソースの透明性やアルゴリズム監査が不可欠となり、AIの中立性をどう制度的に保証するかが問われるだろう。
今後、AIが単なる補助ツールから、政策形成を共創する“共話者”へ進化する可能性もある。
JOINのように、意見投稿とAI要約を連動させる仕組みが整えば、政策決定の初期段階から市民が参加する新たな民主モデルが芽生えるだろう。
政治参加が「見える」だけでなく「動き出す」時代へ――その転換点を「みらい議会」が示すかもしれない。
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