AIアニメ制作のKaKa Creation、9社から4.5億円調達 IPアニメ化と個人クリエイター支援を加速

2025年10月9日、AIアニメ制作のKaKa Creation(東京都)は総額約4億5,000万円の資金調達を完了した。
国内外9社が出資し、AIを活用したアニメ制作基盤の強化と、個人クリエイターとの共同開発を加速させる。
調達資金をAI基盤強化へ 『ツインズひなひま』に続く次世代型アニメ制作を推進
KaKa Creationは、PartnersFund、株式会社 FFG ベンチャービジネスパートナーズ、SMBCベンチャーキャピタル株式会社、NANKAI NEXT Ventures株式会社、株式会社アミューズ、Newjoy Limited Partners、株式会社MIXI、Apollo Capital、電通ベンチャーズの計9社から4.5億円を調達した。
資金は独自のAIアニメーション制作基盤の高度化に充て、人気IP(※)のアニメ化と並行して、個人クリエイターやWebtoon作家との協業を推進する方針である。
アニメ業界では、人材不足や長期的な制作スケジュールが構造的課題となっている。
KaKa Creationは、AIによる制作効率化とSNSを軸とした配信モデルを構築することで、こうした問題の解決を目指してきた。
同社はすでにAIを活用したテレビアニメ『ツインズひなひま』を制作しており、商業レベルでのAI導入実績がある。
また、YouTubeやTikTokではショートアニメを多数展開し、国内外のファン層と直接つながる新しいアニメ流通を実現している。
代表の竹原康友氏は「AIの力で、創造する人に力を。 もっと世界をつなぐクリエイションを。」というビジョンを掲げ、クリエイターが公正に評価・報酬を得られる新たなエコノミーの創出を目指すという。
※IP:Intellectual Property(知的財産)。漫画・アニメ・ゲームなどの作品やキャラクターの権利を指す。
AIが支え、人間が描く 『共創型アニメ制作』への進化
KaKa Creationの動きは、アニメ産業におけるAI活用の転換点となり得る。
今後は、AIによる動画生成・自動補完技術がさらに精度を高め、コンテ制作からレイアウト、色彩設計に至るまで、人間の感性とAIの演算が補完し合う制作体制が主流となりそうだ。
特に、ストーリーボードの自動生成やキャラクター動作の学習モデル化が進めば、少人数で本格的なアニメ制作が可能となり、従来の制作委員会型ビジネスモデルに依存しない新たな市場が形成されるだろう。
一方で、AI生成物の著作権処理やデータ倫理の問題は依然として重要な課題であり、各国の法整備と業界ガイドラインの整合性が求められそうだ。
AIが作品の一部を生み出す時代においては、「誰がクリエイターか」という定義そのものが再構築される局面を迎えるだろう。
同社が提唱する「サポーティブAI」は、AIを人間の代替ではなく創造の支援者として位置づける理念であり、これが業界標準として浸透すれば、世界中の個人が自らの物語をアニメとして発信できる時代が到来すると考えられる。
AIと人間の共創による新たなアニメ文化の確立が、次の10年のエンターテインメントの中心テーマとなるかもしれない。
KaKa Creation プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000132834.html
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