日本コロムビアグループ、新会社設立でAIアーティストやIP事業を展開

2025年10月1日、株式会社フェイスは事業再編により新会社「日本コロムビアグループ株式会社(NCG)」を設立した。
AIを軸とした次世代型クリエイティブプロデュース企業として、エンタテインメント産業に革新をもたらすことを目指す。
AIを核とした日本コロムビアグループが始動
新会社NCGは、音楽事業の老舗である日本コロムビアと、着メロ開発で世界に先駆けたフェイスのDNAを引き継ぎ設立された。
これまで「日本初」「世界初」の数々の革新を実現してきた両社は、AIの進化が創造のプロセスに直接影響を及ぼす時代に合わせ、抜本的な事業改革を進める。
NCGの設立は、単に技術導入による効率化を狙うものではない。
膨大なコンテンツが消費される現代において、人間の感情に深く響き、記憶に残るエンタテインメントを創出することを使命に掲げている。
同社は、AIを用いた即時性と高度な創造性を兼ね備えたコンテンツを生み出し、社会全体に新しい価値を提示することを目指す。
事業領域は多岐にわたる。
AIアーティストの制作や権利管理を含むIP事業、AIクリエイターの受発注プラットフォーム構築、AI生成物の著作権や倫理課題に対応する協議会設立の検討などが挙げられる。
また、全社的な「AX(AIトランスフォーメーション)」を推進するため、専任のAIエバンジェリスト配置や社員教育を行い、社内でのAIリテラシー強化を進める方針だ。
AI共創が示す可能性と課題 NCG設立の行方
NCGの設立は、AIを起点としたエンタテインメントの再定義を進める重要な契機となるだろう。
音楽産業の歴史を背負うブランド力と、テクノロジー分野での先進的な実績を兼ね備える同社が目指すのは、感情価値を伴ったコンテンツの創出であると考えられる。
そのアプローチは、コンテンツ消費が加速する時代において、差別化された新たな魅力を提供する可能性を秘めている。
特にAIアーティストやIPの運用、さらにクリエイターと企業をつなぐ受発注プラットフォームなど、多角的な展開は業界のビジネスモデルを拡張し、新しい収益源を開拓する契機となり得る。
一方で、AI生成物に関わる著作権や倫理の問題は依然として大きな課題であるため、権利侵害のリスクや創造性の希薄化といった懸念をどう克服するかが、今後は問われることになるだろう。
こうした背景の中で、NCGが全社的にAXを推進する方針は、業界全体の議論をリードし得る布石といえる。
今後は国内にとどまらず、国際的な枠組みづくりや協調の動きとも連動しながら、AI時代にふさわしい創造と倫理の両立を提示できるかが焦点となるだろう。
成功すれば、日本発のエンタテインメント産業が世界を牽引するシナリオも現実味を帯びそうだ。
日本コロムビア プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000004545.000019470.html
日本コロムビア Webサイト:https://www.columbia.co.jp/
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