ロッテ傘下デオン、アプトス統合で500万件超の電子ギフト発行 利用者130万人を突破

2025年9月24日、韓国ロッテグループ傘下のデオンコミュニケーションズは、アプトス(Aptos)ブロックチェーン統合から2か月で、電子ギフトサービス「ギフティエル(Giftiel)」の累計発行数が500万件、利用者数が130万人を突破したと発表した。
アプトス統合で急成長、2か月で5倍拡大
ロッテグループ関連のマーケティング・広告企業デオンコミュニケーションズ(以下デオン)が展開する「ギフティエル」は、スマートフォン対応の電子ギフト(バウチャー※1)サービスであり、デオン子会社のスプーン(Spoon)が運営を行っている。
今回の成果は、2025年7月に開始したアプトス(※2)統合の成果として報告された。
アプトス財団(Aptos Foundation)とのパートナーシップを背景に、発行から配布、償還までのライフサイクルをブロックチェーン上で処理する仕組みを導入していた。
統合予定であることが報じられた2025年8月には、試験運用段階ながら発行数100万件、利用者50万人を超えていた。
今回、2か月で約5倍に拡大したことは、ブロックチェーン型デジタルバウチャーへの需要の高まりを示すものと言える。
デオンはこの成果を「信頼性の高いブロックチェーン型デジタルサービスへの需要拡大を示すマイルストーン」と位置づけている。
また、同日に韓国国会で開催された「グローバル・ブロックチェーン・フォーラム2025」においても、デオンはアプトス活用の成果を紹介した。
同社は今後、ギフティエルで得たノウハウを活かし、デジタルバウチャーに加えてロイヤリティプログラムや決済、さらには国際送金までアプトス基盤に拡張する方針を示している。
※1 バウチャー:電子的に発行される商品券やサービス引換券のこと。
※2 アプトス(Aptos):メタ社出身の開発者らが立ち上げたブロックチェーン。
低遅延・高処理能力が特徴。
デオン電子ギフト急拡大が示す需要と課題
デオンがアプトス統合から短期間で利用者130万人を突破したことは、ブロックチェーン技術が実用フェーズに移行していることを裏付ける成果だろう。
発行から償還までのプロセスを透明性と改ざん耐性を備えた仕組みで処理した点は、利用者の信頼拡大に直結したと考えられる。
従来の試験運用段階から2か月で5倍規模に拡大した事実は、市場がデジタルバウチャーに強い関心を示している証左と言える。
一方で、利用規模の急拡大は、システム負荷や即時性確保といった観点では懸念が残る。
処理遅延が生じれば利便性が低下し、ユーザーの離脱要因となる可能性も否定できない。
さらに、電子ギフト管理が主流化すれば規制当局による監督強化が進むことも想定され、事業者にとって新たな制約となり得る。
それでも今回の事例は、韓国市場におけるブロックチェーン活用の先行例として注目できる。
大手流通グループが成果を示したことで、他社の導入を後押しする可能性も大きいだろう。
今後は、デジタルバウチャーからロイヤリティや国際送金まで活用範囲を広げ、ロッテ全体のDX戦略に波及するかが焦点になりそうだ。
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