ソフトバンクと電通グループなど4社が日本語コピーライティング特化型生成AIを共同研究開始

2025年9月25日、ソフトバンクと電通グループなど4社は、日本語の語感や繊細な表現を捉えた広告コピーを生成する「日本語コピーライティング特化型生成AI」の開発に向け、共同研究を開始した。
広告・マーケティング領域での活用拡大を目指す。
国産LLMと広告ノウハウ融合でコピー生成を高度化
ソフトバンク株式会社、株式会社電通、株式会社電通デジタル、SB Intuitions株式会社の4社は、広告コピー制作に特化した生成AIの共同研究を始動した。
電通と電通デジタルが持つコピーライティングの知見や、コピーライターの思考プロセスを学習したAI広告コピー生成ツール「AICO2」のノウハウに加え、ソフトバンクが提供するAI計算基盤、さらにSB Intuitionsが開発中の国産大規模言語モデル「Sarashina」を組み合わせる。
現行の生成AIは多くが海外モデルを基盤としており、日本語特有のニュアンスや文脈を反映したコピーライティング制作に課題があった。
そこで4社は、広告コピーを追加学習(SFT※1・DPO※2)させることで、表現力と精度の向上を図る。
さらに、トーンや強弱の制御機能を備え、ターゲットや目的に応じた言葉選びを可能にする。
AI自身による出力評価機能も実装し、継続的に品質を高める方針である。
この仕組みにより、コピーライターの発想法を取り入れたAIが、人間の創造性と高度な言語表現を融合したコピーライティングを生み出せると期待される。
適用範囲は広告コピーにとどまらず、ネーミングやナレーション、アイデアの言語化、さらにはマーケティング分析まで幅広く想定されている。
※1 SFT(Supervised Fine-Tuning):人間が用意した質問・回答でAIを訓練する手法。
※2 DPO(Direct Preference Optimization):人間の好みや意図に基づき最適な出力を学習させる手法。
日本語特化型生成AIが広告に与える可能性
ソフトバンクと電通が進める日本語コピーライティング特化型生成AIの共同研究は、広告業界に大きな変化をもたらす可能性がある。
国産大規模言語モデルと広告ノウハウを掛け合わせる試みは、日本語特有の表現力や微妙なニュアンスを再現する新たな道を開くと考えられる。
特にコピーライターの思考プロセスを学習させる仕組みは、単なる自動生成にとどまらず、人間の創造性を補完するAIとして発展していくとみられる。
また、この技術は広告コピーの領域を超えて幅広い分野での活用が期待できる。
中小企業やスタートアップにとっては、限られたリソースで効率的にマーケティング活動を展開できる大きな武器となりうるだろう。
一方で、AI依存が進めば表現の均質化や差別化の難しさが浮き彫りになる可能性があり、さらに社会的影響や著作権を巡る議論も避けられないと考えられる。
今後は両社の連携が業界標準のAIソリューションに進化し、日本語に特化した生成AIとして国際的に独自の地位を築けるかどうかが焦点となるだろう。
仮に実現すれば、日本語の表現力を強みにした広告・マーケティング市場に新たな価値を生み出し、国内外での競争力を一段と高める展開が見込まれる。
ソフトバンク プレスリリース:https://docs.google.com/document/d/1JexRttKKNC8u30JZeiPXXOwUO2Z4f87n9wqYcFdLbgc/edit?tab=t.ufpq0ucyuaob
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