社会課題解決型ゲームのDEA、シリーズAで22億円調達 2028年に東証上場を目指す

2025年9月24日、シンガポール拠点のDigital Entertainment Asset(DEA)は、総額22億円を調達したと発表した。
累計調達額は約54億円に達し、2028年に東京証券取引所グロース市場への上場を視野に入れている。
異業種が支援 社会課題解決型ゲームを加速
DEAは「社会貢献を、熱狂的なゲームに変える」を理念に掲げ、社会課題解決型のゲーム事業を展開している。
今回のシリーズAラウンド(※1)での資金調達には、ジャパンインベストメントアドバイザー、アシックス・ベンチャーズ、SBIグループ、大和ハウスグループ未来価値共創1号投資事業有限責任組合、イオレ、Hongo holdingsといった幅広い業界の企業が出資に参加した。
これにより、DEAのシリーズAでの累計調達額は約3,800万米ドル(約54億円)となった。
調達資金は、日本法人化と2028年の東京証券取引所グロース市場(※2)への上場準備に充てられる。
DEAは暗号資産「DEAPcoin(DEP)」を発行しているが、暗号資産発行体事業者が国内取引所に上場を目指すケースは非常に珍しい。
また、同社はPlay to Earn(※3)型の課題解決プラットフォーム「PlayMining」やNFTマーケットプレイスを運営し、電柱撮影を通じてインフラ維持に寄与する「PicTrée」などユニークなタイトルを展開してきた。
CEOの吉田直人氏は「DEAの理念である『楽しむことと社会に役立つことの両立』のもと、今回のご出資を契機にゲームの力で誰もが活躍できるインクルーシブな社会づくりに一層貢献してまいります」とコメントしている。
今後は出資各社との戦略的提携を強化し、ゲームを通じた社会課題解決市場の確立を狙う。
※1 シリーズAラウンド:スタートアップが本格的な事業拡大を目的として行う初期段階の大型資金調達。
※2 東京証券取引所グロース市場:新興企業向けの市場区分で、成長性を重視した上場基準が特徴。
※3 Play to Earn:ゲームプレイを通じて暗号資産やトークンを獲得できる仕組み。
DEAの上場挑戦が示す可能性と課題
DEAの挑戦は、日本におけるWeb3企業の上場モデルを先導する可能性がある。
暗号資産発行体事業者としての東証グロース市場上場は国内初であり、もし実現すれば日本の資本市場において大きな転換点となるだろう。
投資家にとっても、社会的意義を持つゲーム事業が上場企業として評価されることは新たな投資機会となり得る。
一方で、暗号資産市場は依然として価格変動が激しく、規制強化の動向が不透明である点はリスクとなりそうだ。
特に金融当局の審査が厳格化すれば、上場準備に遅れが生じる可能性がある。
また、社会課題解決型ゲームという新しい市場は利用者の理解と参加を必要とし、広報や教育活動が事業拡大の成否を分けるだろう。
それでも、社会貢献と娯楽を融合させるDEAの理念は共感を呼びやすく、異業種連携による事業基盤の強化も期待できる。
今後の展開は、日本におけるWeb3企業の成長モデルとして注目され、資本市場の変革を占う試金石になると考えられる。
Digital Entertainment Asset Pte.Ltd. ニュース:https://dea.sg/news/20250924_02/
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