テザー、最大200億ドル調達を検討 企業評価額5,000億ドルを目指す動き

2025年9月24日、米ドル建てステーブルコイン「USDT」の発行元であるテザー(Tether)社が、最大200億ドル(約2兆9,400億円)の資金調達を計画していると報じられた。
米ブルームバーグが事情に詳しい関係者の話として伝えた。
テザー、非公開株式売却で巨額資金調達へ
ブルームバーグの報道によれば、テザーは非公開で株式を売却する形で出資を募っている。
これにより企業評価額は5,000億ドル(約74兆円)に到達する可能性があるとされる。
同社が発行するUSDTは時価総額ベースで世界最大のステーブルコインであり、暗号資産市場の取引や決済において広く利用されている。
比較対象として、ステーブルコイン第2位のUSDCを発行する米サークルの評価額は、2025年9月23日時点で約300億ドルにとどまる。
もしテザーの5,000億ドル評価が実現すれば、サークルを大きく引き離す規模となり、業界全体の勢力図を塗り替える動きとなるだろう。
さらにテザーは9月12日に、新たなドル建てステーブルコイン「USAT」の立ち上げ計画を公表している。
この通貨は米国で審議中のステーブルコイン規制法案「ジーニアス法(GENIUS Act)」に準拠する設計となり、同社が開発する現実資産(RWA)トークン化基盤「ハドロン・バイ・テザー(Hadron by Tether)」を活用して展開される見通しである。
※ステーブルコイン:法定通貨などの価値に連動させ、価格変動を抑えた暗号資産。
USDTやUSDCが代表的で、暗号資産市場の取引や送金に広く利用されている。

テザー巨額調達構想が映す成長と規制の岐路
テザーが最大200億ドルの資金調達を検討し、評価額5,000億ドルを目指すという動きは、暗号資産業界の勢力図を一変させる可能性を秘めている。
非公開株式売却による巨額調達が実現すれば、同社の市場支配力はさらに強まり、規制対応型ステーブルコインやRWAトークン化基盤の拡大に拍車をかけると考えられる。
特にUSDTの流動性を背景にした事業展開は、金融機関型プレーヤーとしての地位を確固たるものにするだろう。
しかし一方で、準備金の透明性を巡る過去の疑念は依然として解消されたわけではない。
評価額が膨らめば監視は強化され、規制環境の変化に左右される局面も増えるとみられる。
また、新規投資家の参加は経営戦略やガバナンスに影響を及ぼす可能性も否定できない。
USDTは市場の基盤通貨であるため、その信頼性が揺らげば波及的な影響が全体に及ぶ危険性もあるだろう。
今後は「USAT」など新規プロジェクトの進展と米国法制度の整備が鍵となりそうだ。
テザーの挑戦は市場成長を牽引する契機となる一方で、規制と信頼性確保という課題をどう乗り越えるかが未来を左右すると言える。
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