掛川市、小学校1~3年生の通知表廃止を正式決定 2026年度から全国でも異例の試み

2025年9月22日、静岡県掛川市教育委員会は、市内小学校の1~3年生における「通知表」を2026年度から廃止すると正式に決定した。
自治体単位で通知表を撤廃するのは全国的にも極めて珍しい事例であり、教育DXやAI導入が背景にある。
掛川市、2026年度から小学校低学年の通知表を廃止
掛川市教育委員会は、教員の大きな負担となっている通知表作成の見直しに加え、学習支援アプリやAIによる習熟度評価の精度向上を踏まえ、市内小学校の1~3年生を対象に通知表を廃止する方針を決定した。
9月22日に開かれた校長会では反対意見が出ず、正式に導入が決まった。
自治体単位で通知表を全面的に廃止する取り組みは、全国的にもきわめて珍しい事例となる。
今後は、従来の通知表に代わり、教員・保護者・児童の三者面談が実施される。
面談では学習支援アプリに蓄積されたデータを基に、各児童の理解度や学習状況を可視化しながら指導を行う。
これにより、従来の一方向的な評価ではなく、家庭と学校が協働する双方向型の教育アプローチが進められることになりそうだ。
AI評価で教育改革進む一方、課題は「公平性」と「保護者理解」か
掛川市が小学校1~3年生の通知表を廃止する決定は、教育現場におけるDX推進の象徴的事例だといえる。
従来の通知表は教員の業務負担を増大させてきたが、AIによる習熟度分析や学習支援アプリの導入によって、評価の客観性と精度を高めつつ、業務負担を軽減できるとみられる。
このため、形式的な一方向の評価から脱却し、三者面談を通じた双方向の学習支援へと舵を切る意義は大きいと考えられる。
利点としては、保護者が子どもの学習過程をより具体的に把握できる点が挙げられるだろう。
さらに、AIが収集したデータを基に議論することで、従来以上にきめ細かなフィードバックが実現できる可能性がある。
一方で、AI評価の透明性や公平性に疑念が生じれば不信感を招きかねないため、運用の工夫が不可欠であるとみられる。
掛川市の取り組みは先進的な試みとして注目できる。
今後は成果次第で他自治体にも広がる可能性があるが、人間的な判断とデータ活用のバランスをいかに保つかが成否を分けると考えられる。
教育改革の実験場として、その行方は大きな関心を集めそうだ。
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