ボリビアのトヨタ正規販売店ら、ラテンアメリカ初のUSDT自動車販売決済導入

2025年9月20日、ボリビアの大手自動車販売代理店トヨサ(Toyosa)とクラウン(Crown)が、米ドル建てステーブルコイン「USDT」による車両購入決済を導入したと報じられた。
現地紙エル・デバルとテザー社CEOの発表により明らかになった。
ボリビアの自動車大手、ステーブルコイン決済を採用
ボリビア最大規模のトヨタ(TOYOTA)正規代理店トヨサと、BYDの正規代理店クラウンがUSDT決済を導入した。
地元紙エル・デバルが9月20日に報じ、テザー社CEOパオロ・アルドイーノ氏も自身のXで認めている。
両社はボリビア最大の展示会「エスポクルス(Expocruz)2025」の会場で、デジタル資産インフラ企業ビットゴー、テザー、パナマの暗号資産銀行タワーバンクと戦略提携を発表した。
これにより、トヨタやBYDに加え、レクサスやヤマハといった車両の購入にUSDTを利用できる。
決済はQRコードを読み取る方式で、ブロックチェーン上の承認を経て完了する仕組みだ。
ビットゴーが暗号資産の保管とインフラを担い、タワーバンクが決済処理を担当する。
今回の導入はラテンアメリカで自動車販売事業者がステーブルコイン決済を大規模に採用する初の事例となる。
テザーは南米における事業拡大を進めており、2025年4月には農業・エネルギー企業アデコアグロを買収、6月にはチリの暗号資産取引所オリオンエックスに出資している。
今回の取り組みもその延長線上にあるとみられる。
※ステーブルコイン:米ドルやユーロなどの法定通貨に価値を連動させ、価格の安定を目的とした暗号資産の一種。
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ラテンアメリカ自動車市場に広がるUSDT決済の波紋
ボリビアの大手自動車代理店がUSDTによる決済を導入したことは、ラテンアメリカにおけるステーブルコイン普及の象徴的な出来事だと言えるだろう。
インフレや為替不安が続く地域において、米ドル連動型の安定資産を決済に利用できることは、輸入車の高額取引と相性が良く、購入者にとっては手続きの迅速化や手数料の削減といった具体的な利便性をもたらすと考えられる。
さらに、テザーやビットゴー、タワーバンクといった国際的な企業との提携は、商取引の信頼性を高め、地域の金融実験場としての役割も担いそうだ。
一方で、法制度や税制の不透明さは大きなリスクとなるだろう。
ボリビア政府がステーブルコイン決済をどう位置づけるかによっては、普及のスピードが変動し、国際的な規制圧力が強まれば銀行や販売業者に対応を迫る状況も想定できる。
現時点では利便性とリスクが拮抗している段階だと考えられる。
今後は、ブラジルやアルゼンチンのように、通貨不安の深刻な国で同様の導入が進む可能性がある。
事実上のドル経済を補完する仕組みとしてUSDTが受け入れられれば、今回のボリビアでの事例はラテンアメリカ全体に波及し、新たな購買スタイルの先駆けとなるのではないだろうか。
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