岡山、旅行会社とバス事業者の受発注をAIで効率化 両備グループが新システム開発

2025年9月18日、岡山の両備グループは貸し切りバスの受発注業務を効率化する新システム「mobitas」を開発したことを発表した。
従来の電話やFAXに代わり、クラウド上で一元管理し、作業時間を約3分の1に短縮できるという。
貸し切りバス受発注をDX化 業務時間を大幅削減へ
両備グループは、東京のグループ会社「MIRAHOOP」が開発したクラウド型プラットフォーム「mobitas」を発表した。
これまで旅行会社とバス事業者の間で行われてきた見積もりや空き状況確認は、電話やFAXを通じた手作業に依存していた。
新システムではAIが所要時間や移動距離を自動で算出し、運賃計算の効率化を実現する。
旅行会社はバスやガイドの空き状況をリアルタイムで確認でき、見積もり額も数分以内に把握可能になった。
両備バスの試算によると、見積もり関連の作業は年間7500時間から2500時間へと削減され、人件費も月100万円程度圧縮できる見込みだ。
サービスは2026年1月から岡山エリアで開始され、2028年4月に全国展開を目指す。
観光業界DXの推進力と脆弱性 効率化の先にある課題
「mobitas」の導入は、観光業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX ※)の象徴と位置づけられる。
業務効率化により、旅行会社は迅速な対応で顧客満足度を高め、バス事業者は人件費の削減とリソースの最適活用につなげられる。
中小規模の事業者にとっても、同様の仕組みが普及すれば競争力を維持しやすくなるだろう。
一方で、システム障害や操作習熟度の差、クラウド特有のセキュリティリスクといった課題も残る。
普及には業務プロセスの標準化と業界横断的な合意形成が不可欠であり、AIの精度向上やセキュリティ対策を継続的に強化することが信頼確保の鍵となりそうだ。
2026年に岡山で始動し、2028年の全国展開を目指すロードマップは、観光DXの試金石として注目できる。
将来的には鉄道や宿泊業との連携に発展し、包括的な観光プラットフォームへと進化する可能性もある。
※DX(デジタルトランスフォーメーション):デジタル技術を活用して業務やビジネスモデルを根本的に変革し、効率化や新たな価値創出を図る取り組み。
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