中国地方初、山口県議会がAI文字起こしを試験導入 9月定例会から配信字幕と傍聴席表示

2025年9月16日、山口県議会が本会議での発言をAI音声認識でリアルタイムに文字起こしし、インターネット中継や傍聴席モニターにおいて字幕を表示する試験運用を開始した。
中国地方の県議会で初の取り組みである。
本会議で字幕配信と傍聴席表示
県は、AI音声認識システムを導入し、本会議での発言内容を文字起こしする取り組みを開始した。インターネット中継に字幕を追加し、傍聴席東側最前列には65インチのモニターを設置して同様の字幕を表示する。
音声を聞き取りづらい県民の視聴・傍聴を支援し、発言内容の理解を高める狙いだ。
試験運用は9月定例会の会期中に実施し、対象日は9月16日、22日、24~26日、29日、10月6日としている。
この導入は中四国の県では初である。県は結果を検証したうえで、11月定例会以降の本格運用を目指す計画だ。
12日に行われたデモンストレーションでは6月定例会での知事発言が即時に文字化され、画面に表示された。
導入費用は約550万円で、固有名詞や専門用語は事前登録により誤変換を抑制し、読みがなも付す。
短期的な課題は精度と運用検証、本格導入の分岐点に
山口県議会が導入したAI文字起こしは、今後の議会運営に変化をもたらす可能性が高い。
短期的には、誤変換率や表示遅延、視聴者満足度といった指標をもとに検証が行われ、改善サイクルを短期間で回せるかが本格導入の分岐点となるだろう。
語彙登録の拡充や監視体制の強化が進めば、精度と安定性の両立が期待できる。
中期的には、今回の試験導入が他の地方議会に波及する可能性がある。中国地方で初という位置付けは注目を集めやすく、全国的に字幕常設のモデルケースとなる展開も見込まれる。
地方議会が共通して抱える「わかりやすさ」や「開かれた運営」といった課題に対する一つの解決策として評価される可能性がある。
さらに長期的には、字幕機能の枠を超え、多言語対応や議事要約の自動提示など、より高度なサービスへと発展するだろう。
外国人住民や若年層への情報提供にも資することで、議会の存在感を高める効果が期待できる。こうしたデジタル化の進展は、議会運営の効率化や透明性の強化とともに、地域社会における民主主義の深化を促す契機となり得る。
最終的には、今回の導入が「見える議会」を実現するかどうかを占う試金石となるだろう。
県の報道発表:https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/press/318514.html?utm_source=chatgpt.com
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