北京などでAI模擬授業を義務教育化 サービス貿易博覧会で初公開

2025年9月10日から14日まで中国・北京で開幕されている「中国国際サービス貿易交易会」で、AI(人工知能)を活用した模擬授業が初めて公開された。
義務教育にAI学習を組み込む取り組みが進められている。
北京や天津の小中学校でAI授業を導入
会場には、日本を含む85カ国や国際機関から約2000社が出展し、最新のサービスや技術が披露された。
中国政府はAI人材育成を国家戦略の柱に掲げ、今月から北京や天津の小中学校でAIを活用した教育プログラムを義務化している。
会場では、その取り組みの一環として実際の授業が公開され、児童によるAIを取り入れた模擬授業が行われた。
この教育システムは中国の民間企業が開発し、新興AI企業「ディープシーク」や大手IT企業「テンセント」が提供するAIプラットフォームを採用している。
すでに全国1000校以上で利用が始まっており、普及のスピードは加速している。
飛象星球教育研究院の蒋沁君常務副院長は、「AI技術が全科目の授業に実用化されるのは必然の流れです。実用する時に科学技術への恐ろしさを持ちながら、技術を乱用しない、限界を突破しないことも教えています」とコメントした。
義務教育段階からAIリテラシーを学ばせることで、将来の競争力強化を狙う姿勢がうかがえる。
AIが描く次世代教育モデルと国際的波及の可能性
AI模擬授業の義務教育化は、教育のあり方を大きく変える可能性がある。
短期的には、生徒ごとの習熟度に応じた教材提示や自動採点が普及し、学習成果の可視化や教育効率の向上が加速するだろう。
すでに1000校以上で導入が始まっていることから、中国では都市部を中心に全国展開が急速に進むとみられる。
中期的には、人間とAIの役割分担が教育制度設計の課題となりそうだ。
AIを補助的に用いるのか、中心に据えるのかで方向性は大きく異なるだろう。
教師は知識伝達者から、倫理観や創造性を育む役割へと再定義され、AIと人間の協働モデルが新しい教育スタンダードとして定着する展望も考えられる。
長期的には、中国の取り組みが国際的なモデルケースとなり、他国でも義務教育へのAI導入が進む可能性がある。
教育分野でのAI活用は国際競争の新たな軸となり、中国の先行は地政学的な優位につながるだろう。
ただし、創造力の低下やプライバシー侵害といった副作用を抑えられなければ、反発や制度疲労を招くリスクも否定できない。
利便性とリスクの均衡をいかに保つかが、次世代教育を左右する鍵になるとみられる。
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