ビットコインマイナー株が急騰 マイクロソフトの174億ドルAI投資が引き金に

2025年9月10日、米ネビウス・グループがマイクロソフトと174億ドル(約2兆5750億円)のGPU供給契約を結び、暗号資産マイニング関連株が一斉に急騰したことが報道された。AI需要拡大が市場を揺さぶったとされる。
GPU供給契約でマイニング株が全面高
ネビウス・グループがマイクロソフトにグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)を5年間にわたり供給する大型契約を結んだ。
契約総額は174億ドルに達しており、AIインフラ強化を狙うマイクロソフトの積極姿勢を象徴するものだ。
この報道直後、ビットコインマイナー株が大幅上昇を見せた。ビットファームズが22%高で市場を牽引し、サイファー・マイニングは20%上昇。
アイレンやハット8、ライオット・プラットフォームズ、テラウルフも10%台半ばの上昇を記録した。
対照的に、ビットコイン(BTC)は序盤の上昇を維持できず、約1%下落して11万1100ドルで取引を終えた。
今回の株価急騰は、マイニング業界の新たな潮流を反映している。
従来は4年ごとの半減期(※)が収益性を大きく左右してきたが、近年は電力コスト上昇やハードウェア競争の激化により、単純な周期依存のモデルは揺らいでいる。
ビットメインをはじめとする機器メーカーの攻勢も、市場の圧迫要因となっている。
また、AIの台頭はマイナーに新たな可能性をもたらしている。
膨大な電力供給と計算能力を備えたマイニング施設は、AI企業やハイパースケーラーへのインフラ提供先として注目できる。
※半減期:ビットコインのブロック報酬が半分になる仕組み。4年ごとに起きることが多い。
マイニングからAIインフラへ 収益多角化の転換点
今回のネビウス・グループとマイクロソフトの契約は、GPUを基盤とするAI需要拡大の象徴であり、マイニング業界に新たな展望をもたらす可能性がある。
従来、ビットコイン価格や半減期サイクルに依存していた収益モデルが、多角化へ向かうシナリオが開かれた点は大きいだろう。
マイニング施設が持つ高電力供給能力や演算資源は、今後AI企業やクラウド大手にとって魅力的なインフラとなると予想できる。
市場からの資金流入を呼び込み、短期的には株価や資本調達に追い風になると考えられる。
一方で、GPU需要の急増がコストを押し上げれば、マイナー自身の競争環境は厳しさを増すだろう。
電力消費や環境負荷への批判が強まれば規制リスクも高まり、事業転換を急げば暗号資産市場の下落局面に備える余力を失う恐れもある。
短期的な株価高騰は投機的色合いを帯びており、持続性には疑問が残るだろう。
中長期的には、マイニング企業が「暗号資産採掘業者」から「AI時代のインフラ提供者」へ進化する動きが加速するとみられる。
GPUや電力を大量に扱う強みを活かし、AIトレーニングや推論処理を外部提供する事業モデルへと拡張する可能性が高い。
これが収益多角化の突破口となれば、業界再編の鍵となり、長期的な成長シナリオを描く契機になると推測できる。
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