スターテイルとツインプラネットが協業 エンタメIPをトークン化で仕組み刷新

2025年9月2日、Web3企業スターテイルとエンタメ企業ツインプラネットが協業を発表した。
エンタメIPをトークン化し、権利や収益の分配をブロックチェーン上で透明化する仕組みを構築する。エンタメ産業の資金課題や権利の複雑性に対応し、グローバル展開も視野に入れる。
エンタメIPをトークン化し権利・収益の仕組みを刷新
スターテイルは国内初のWeb3企業であり、ブロックチェーンの基盤開発やWeb3事業の推進などを担っている。
一方のツインプラネットは「新しい学校のリーダーズ」などを手がける芸能プロダクションで、タレントマネジメントやIPプロデュースに加え、デジタル領域にも注力してきた。
両社は今回の協業により、エンタメ資産や知的財産をブロックチェーンで管理し、従来不透明になりがちな権利や収益分配を可視化する取り組みを進める。
発表によれば、対象となる課題は多岐にわたる。
クリエイターが制作費を事前に確保しづらい構造、複雑な権利関係、収益分配の不透明性、さらに海外展開時に正しい権利者に収益が届かない事例などだ。
両社はこうした問題に対処するため、トークン化されたエンタメ資産(エンタメST)の設計や権利管理に加え、ユーザー体験と法令遵守を両立させた仕組みを検討するとしている。
また、SPV(特別目的会社)スキームや二次流通市場の設計、投資家保護を前提とした資金調達枠組みも構想に含まれている。
これにより、金融機関に限定されず個人投資家も参加可能な仕組みを整える方針を示した。
透明化が呼ぶ波及効果 資金調達の新潮流と課題
今回の協業は、エンタメ産業における資金循環の仕組みに大きな変化をもたらす可能性がある。
短期的には、制作前から資金を確保できる体制が整うことで、クリエイターは活動を継続しやすくなり、ファンも支援の方法を多様に選べるようになるだろう。
権利や収益分配の透明化が進めば、従来の不信感を払拭し、国内外の投資家にとっても魅力ある市場として位置付けられていくと考えられる。
中期的には、二次流通の仕組みが成熟することでトークン化資産の流動性が高まり、IPの展開が従来よりも拡張されるシナリオが想定できる。
特にファンが単なる消費者にとどまらず、共創の一翼を担う仕組みが広がれば、エンタメの体験そのものが変容していく可能性もある。
一方で、制度的な課題は避けられない。
投資家保護や金融規制との整合性が不十分であれば、投機的な過熱や不正利用のリスクは残るだろう。
また、権利処理の複雑さや各国で異なる法制度が、グローバル展開の壁となる懸念もある。
それでも、ブロックチェーンを基盤にした権利・収益管理が定着すれば、日本発のエンタメ産業が新たな資金循環モデルを生み出し、国際競争力を高める契機となる可能性が高い。
今回の協業は「エンタメ×フィンテック」の先行事例として、今後の業界全体の方向性を占う試金石となりそうだ。
株式会社TWIN PLANET プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000797.000025517.html
Startale Group プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000114522.html
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