米メタ、AI強化で他社モデル活用も視野 グーグルやオープンAIと提携検討か

2025年8月29日、米メタ・プラットフォームズが自社アプリのAI機能強化に向け、グーグルやオープンAIとの提携を検討していると、米メディア「ジ・インフォメーション」が関係者の話として報じた。
競合他社の技術導入を一時的措置としつつ、自社モデル開発を優先する姿勢が示された。
メタ、新設AI組織で外部モデル統合を検討
報道によれば、メタは新設したAI開発組織「メタ・スーパーインテリジェンス・ラボ」の幹部らは、同社の主力チャットボット「メタAI」への外部モデル統合を議論している。
具体的には、グーグルが展開する生成AI「Gemini(ジェミニ)」を回答作成に活用する案が浮上した。
さらに、同社のソーシャルメディア用アプリで利用されるAI強化の一環として、オープンAIのモデル活用も検討対象に含まれている。
これらの提携案はいずれも、自社開発の次世代モデル「ラマ5(LLaMA 5)」が実用段階に到達するまでの一時的な対応とみられる。
メタは従来、オープンソース(※)戦略を打ち出し、自社モデルの開発に注力してきた。
外部モデルの利用は方針転換を意味するものではなく、むしろ競争力を高めるための補完的な措置と位置づけられている。
広報担当者は「当社は最高のAI商品を構築するため、あらゆる手法を検討しており、それには世界で最も進んだモデルの自社開発や、他社との提携、オープンソース技術の利用が含まれる」と声明を出したという。
※オープンソース:ソフトウェアの設計情報やソースコードを一般公開し、誰でも利用・改良できる仕組み。
短期の即効性と長期の主導権 メタAIの二重戦略の行方
今後の展望としては、短期的には外部モデルを取り込むことで「メタAI」や関連アプリの機能が強化され、ユーザー体験の向上が進むと見られる。
質問応答の精度や多機能化は、競合との差別化につながり、利用者をつなぎ止める効果をもたらすだろう。
ただし、他社技術への依存が長期化すれば、リスクが高まる可能性がある。
提携先の利用条件やコスト次第で、自社の開発計画が制約を受ける恐れもあるだろう。
さらに、外部モデルを活用する場合には、データ処理やプライバシー保護の透明性が求められ、信頼性を損なう懸念も残ると考えられる。
中期的には、自社開発の「ラマ5」が実用化されるかどうかが大きな分岐点となるだろう。
競合と同等以上の性能を実現できれば、外部依存から脱却し、自社独自のエコシステム拡大につなげられる可能性がある。
一方、開発が遅れれば他社への依存が長期化し、主導権を握れない展開も現実味を帯びるだろう。
長期的には、メタを含む大手プラットフォーマーが「協調と競争」を繰り返す二重構造が鮮明になる可能性がある。
メタが独自モデル開発と外部連携を両立させる姿勢を維持できれば、AI産業全体の勢力図に影響を与え、多極化する市場における一つの標準モデルを提示する展開も描けるだろう。
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