リップルとSEC、控訴相互取り下げで決着 5年越しの法廷闘争が終結

2025年8月8日、米証券取引委員会(SEC)とリップルラボの弁護士らは、第2巡回控訴裁判所への控訴を相互に取り下げることで合意したと発表した。
2020年から続いた約5年間の法廷闘争が事実上終結し、XRP価格は前日比8.5%上昇した。
SECとリップル、2020年からの訴訟に終止符
SECとリップルラボの対立は、XRP販売をめぐる証券法違反の有無が争点となってきた。
SECは2020年、リップルが未登録証券としてXRPを販売し、約13億ドルを調達したと提訴。
これに対しリップルは「XRPは証券に該当しない」と反論し、法廷闘争は長期化していた。
今回の合意により、双方は控訴を取り下げ、2023年のアナリサ・トーレス判事の判決が最終判断として確定する。
判決では、機関投資家への直接販売は証券法違反と認定された一方、個人投資家に対する二次市場での「ブラインドビッド(※)」販売は違法ではないと判断された。
リップルのブラッド・ガーリングハウスCEOは6月時点で反対控訴を取り下げる意向を示しており、「この章を完全に閉じ、インターネット・オブ・バリューの構築に集中する」と表明していた。
今回の決着により、同社は事業拡大に専念できる環境を手にした形だ。
法的リスクの解消が投資家心理を押し上げた結果、市場はこの動きに即座に反応し、XRPは急騰した。
※ブラインドビッド:発行者が購入者を特定せずに市場を通じて資産を売却する方式。
リップルとSEC和解が示す米暗号資産規制の転換点 市場拡大と新たな課題
今回の終結は、仮想通貨業界における規制環境の明確化に向けた大きな節目となる可能性が高い。
XRPが個人投資家向けには証券に該当しないと判断されたことは、二次市場取引の自由度を押し上げ、他の暗号資産にも前例として影響を与えるだろう。特に、米国内での流動性向上につながることが期待できる。
一方で、機関投資家向け販売が証券法違反と認定された事実は残り、今後は同様の資金調達を試みるプロジェクトが、証券登録や開示義務への対応を迫られる展開が予想される。
また、SECの姿勢が根本的に軟化したわけではなく、他の暗号資産を対象とした執行行為は継続する可能性がある。
リップルは、法的リスクの解消を追い風にパートナーシップや国際展開を加速させる一方で、企業統治やコンプライアンス体制の強化が不可欠となるだろう。
業界全体としては、今回の事例を契機に、政治・司法・市場がせめぎ合う中で「規制と成長の均衡点」を模索する局面が続くとみられる。
規制の明確化が市場拡大を促す可能性がある一方で、適用範囲の広がりや新たな訴訟リスクも潜在し、暗号資産業界の成熟度が引き続き問われる展開になりそうだ。