米アンソロピック、評価額1000億ドル超を目指す 次回資金調達で大台到達の可能性

2025年7月17日、米AIスタートアップのアンソロピックが、次回の資金調達において企業評価額1000億ドル(約14兆8000億円)超を目指していることが明らかになった。
ブルームバーグが関係者の証言として報じた。
アンソロピックに「1000億ドル超」評価の出資打診 次回調達めぐり投資家が注目
アンソロピックは、OpenAIやGoogle DeepMindと並ぶ次世代AI企業の一つとして注目されており、独自の大規模言語モデル「Claude(クロード)」の開発を進めている。
現在、同社は正式な資金調達を開始していないものの、シリコンバレーでは有力AI企業への先行出資の動きが活発化しており、アンソロピックに対しても「評価額が1000億ドルを超えるのであれば投資したい」との声が複数の投資家から寄せられているという。
同社は前回の資金調達ラウンドで、ライトスピード・ベンチャー・パートナーズなどから35億ドルを調達しており、その際の評価額は615億ドルだった。
今回の資金調達に関する詳細はまだ流動的で、アンソロピック側もコメントを控えているというが、テックメディア「The Information」がこの動きをいち早く報じた。
アンソロピックに集まる期待と懸念 評価維持の鍵を握るのは
今後、アンソロピックが目指す1000億ドル超の評価額が現実となれば、同社は生成AI市場における主導的ポジションを固めるとみられる。
人材確保や研究開発の加速、クラウドインフラの強化、多言語対応の拡充といった戦略的投資が可能になり、商用展開の本格化と製品競争力の向上につながるだろう。
投資家にとっても、有望な成長市場への早期参入という魅力的な機会となりそうだ。
一方で、1000億ドルという水準は未上場企業として極めて異例であり、AIバブルへの懸念も根強い。
収益モデルが確立していない段階での高額評価にはリスクが伴い、仮に市場の熱狂が沈静化すれば、評価の修正や資金流出が発生する可能性も否定できない。
将来的にIPOを視野に入れる場合、市場との乖離が企業価値の信認を損なうリスクとなることも考えられる。
仮に資金調達が実現すれば、同社は競合との差異化や安全性・規制対応をめぐる開発競争をさらに強化していくとみられ、これらを着実に実行できるかどうかが、今後の持続的成長と評価維持の分水嶺となるだろう。