オラクル、欧州で30億ドル投資へ 独と蘭にAI・クラウド基盤強化の波及

2025年7月15日、米ソフトウェア大手オラクルは、今後5年間でドイツとオランダに総額30億ドルを投資し、欧州におけるAIおよびクラウドインフラの強化に乗り出すと発表した。
生成AIの需要拡大を背景に、欧州域内のデータセンター整備を加速させる。
目次
オラクル、独と蘭にAI・クラウド拠点を整備へ
オラクルは欧州におけるAIおよびクラウドサービスの基盤拡充を目的に、ドイツに20億ドル、オランダに10億ドルを投資すると発表した。
これにより、両国に新たなデータセンターを設置し、企業や公的機関に向けた高度なITサービスの提供を強化するとみられる。
背景には、生成AIを活用する企業が急増し、信頼性の高い演算基盤とセキュリティ環境が求められている現状がある。
とりわけ欧州では、GDPR(一般データ保護規則)などの規制に準拠したインフラ整備が不可欠となっている。
AI基盤を支えるクラウド投資は今やグローバル競争の焦点となっており、オラクルに加え、アマゾン、マイクロソフト、グーグルといった米大手各社が欧州への巨額投資を進めている。
欧州クラウド戦略の成否を握る「データ主権」と技術革新の両立
オラクルの欧州投資は、今後の「データ主権」への対応と企業のAIニーズを両立させる動きとして注目される。
国内拠点による演算処理やデータ管理の需要は今後さらに高まり、クラウド拠点の地理的分散はリスク分散策としても重要性を増すだろう。
同社のグローバルなインフラ投資は、AI時代の基盤整備を加速させ、他の米IT企業にも影響を与える可能性がある。
一方で、電力供給や人材確保、サプライチェーンの課題は、今後の展開におけるリスク要因となるだろう。
今回のオラクルの取り組みは、他の米IT大手の戦略にも波及し、欧州全体のAI・クラウド競争の新たな局面を切り開く鍵となるかもしれない。