マックハウス、仮想通貨領域に本格参入 ゼロフィールドと提携し「購入・マイニング」戦略へ

2025年7月4日、アパレル小売大手のマックハウスは、暗号資産マイニング大手ゼロフィールドと包括的業務提携の基本契約を締結したと発表した。
ビットコインの購入とマイニングを両輪とする独自戦略で暗号資産事業に参入する。
異業種×マイニング ゼロフィールドとの基本契約
衣料品チェーン「Mac-House」を全国に展開する株式会社マックハウスが、仮想通貨事業に本格的な一歩を踏み出した。
同社は7月4日、暗号資産のマイニング機器販売で国内シェアトップのゼロフィールド社と包括的協業に向けた基本契約を締結を発表し、仮想通貨の「購入」と「採掘」のハイブリッド戦略を打ち出した。
同社は、AI特化企業トリプルアイズの100%子会社であり、国内マイニング市場で4年連続シェア1位を誇っている。
今回の契約は、既存のアパレル事業に依存しない新たな収益軸を確立する狙いがある。
マックハウスは中長期的な企業価値の向上を目指し、まずはビットコインを中心に暗号資産を保有する方針だ。
具体的には、市場での一括購入によるタイミング重視の投資と、継続的なマイニングによる定期取得を組み合わせ、取得コストや価格変動リスクの分散を図る。
また、暗号資産の市況に応じて、保有対象を柔軟に調整する可能性も示唆されている。
今回の基本契約に基づき、両社は今後、具体的なマイニング施設の設置計画や暗号資産の購入タイミングに関する詳細な協議を行う。
また、NFTやブロックチェーンを活用した新事業、ESG・CSR領域との連携も模索する予定であり、単なる資産保有にとどまらない展開が見込まれる。
アパレル×暗号資産の可能性 収益多角化と新価値創出
マックハウスの仮想通貨参入は、本業と異なる新領域への挑戦であり、少子高齢化などで縮小する国内アパレル市場に対する収益多様化策といえるだろう。
また、実績あるゼロフィールドとの提携により、運用リスクを抑えつつも新収益源の確立を目指していると推測できる。
さらに、ビットコインの「購入」と「マイニング」の両輪戦略によって、価格変動リスクと取得コストのバランスを調整できるという投資手法は、他企業との差別化につながる可能性がある。
一方で、デメリットやリスクも顕在化しうる。
まず、仮想通貨市場は価格変動が激しく、短期的な収益の安定性には疑問が残るだろう。
企業の財務基盤を暗号資産に依存しすぎることは、株主や取引先への説明責任という点で懸念材料となり得る。
マックハウスの仮想通貨参入は、実需企業による資産保有型戦略の国内事例として新たな一歩であり、BtoC企業にもこの潮流が広がり始めていくと考えられる。
今後は、マイニングによる継続的な保有に加え、暗号資産を活用したポイントプログラムや決済手段の提供など、既存事業との統合にも期待したい。