ノルウェー政府、仮想通貨マイニング新設を一時禁止へ 電力の再配分で経済効率化を狙う

2025年6月20日、ノルウェー政府は新たな仮想通貨マイニング施設の設立を一時的に禁止する方針を発表した。
電力をより生産的な産業に再配分することで、国益にかなう経済政策を進める狙いだ。
電力消費型の仮想通貨採掘に政府が制限策
ノルウェー政府は、2025年秋を目途に、国内における新規仮想通貨マイニング(※)施設の設立を一時的に禁止する政策を導入する予定である。
これは主にビットコインなどの仮想通貨を対象としており、莫大な電力を必要とする採掘行為に対して規制を設けるものだ。
同国のカリアンネ・トゥング デジタル化・行政大臣は、仮想通貨マイニングによる地域経済への雇用・収入効果が極めて限定的であることを理由に、国家資源の有効活用を優先する考えを示した。
電力の浪費を抑制し、他の産業部門に振り向けることで、持続可能な経済成長を下支えする狙いがあると思われる。
※仮想通貨マイニング:暗号資産の取引記録をブロックチェーン上に記録するための計算作業であり、報酬として仮想通貨が得られる仕組み。https://plus-web3.com/media/mining/
仮想通貨採掘の転機、国家資源の再配分が生む余波と展望
ノルウェー政府による仮想通貨マイニング施設の新規設立禁止方針は、エネルギー政策と経済戦略の再構築という観点から一定の合理性を持つ施策である。
既存のマイニング事業者に対する影響が不透明であるにも関わらず、規制の境界線が曖昧な状態が続けば、法的・経済的な混乱を招く懸念があると考えられる。
最大のメリットは、国家資源である電力をより生産性の高い分野に振り向けることで、経済全体の効率化と持続可能性の向上を図れる点にある。
一方で、もし禁止措置が中長期化すれば、他の北欧諸国や電力資源の豊富な地域へのマイニング移転が加速する可能性が高い。これは結果として、ノルウェーのエネルギー政策が域外に与える影響を強めることにもつながるだろう。
今後の焦点は、ノルウェー政府がこの一時的禁止を恒久的な政策に移行するか否かにあるといえる。