ecforce、AI活用でLTV自動予測を実現 定期通販に特化し、マーケ施策を高度化

2025年6月13日、統合コマースプラットフォーム「ecforce」を提供するSUPER STUDIOは、同社の分析ツール「ecforce bi」に、AIによるLTV(顧客生涯価値)予測機能(β版)を新たに搭載したと発表した。
定期通販モデルに特化した精度の高い予測が可能になり、マーケティングの効率化が期待できる。
AIが自動でLTVを予測 設定不要で導入可能に
SUPER STUDIOは、AIによる機械学習を用いた「予測分析機能(β版)」を、「ecforce bi」に実装した。
この機能により、事業者は特別な設定を行わずとも、「ecforce」上のデータをもとにLTV(※)を自動で予測できるようになる。
背景として、「LTVの予想は専門的な知識が必要なため、継続的な分析が難しい」というユーザーの声が多く寄せられていた。こうした課題を解決するため、同社はD2C事業者への支援実績と機械学習を組み合わせた本サービスを開発したという。
広告費や受注情報、購買の時系列データなど複数の指標をAIが横断的に学習し、ダッシュボード上でLTVの予測値と実測値を比較することも可能だ。
また、予測の信頼性が直感的に把握できる設計となっている。
この「予測分析機能(β版)」は、現在「ecforce bi」を導入している事業者に無償で提供されており、2025年度中には正式版のリリースを予定している。
今後は定期通販に限らず、他のビジネスモデルでも精度の高いLTV予測が可能となるよう、開発を進める方針だ。
LTV予測で費用対効果を可視化 CRM連携で成長促進も
AIによるLTV予測は、従来のマーケティング施策に変革をもたらす可能性がある。
とりわけ、収益性の高い顧客層を特定し、広告やCRMにリソースを集中させる「選択と集中」が可能となる点は、大きなメリットだろう。
「ecforce bi」では、将来的にLTVが高まる見込みのあるユーザー群も自動的に抽出可能なため、これらを「ecforce ma」と連携させてCRM施策を実施することで、さらなる顧客育成が可能になると思われる。
特に、購買サイクルの長い定期通販モデルでは、このような予測が中長期的な成長戦略に直結する。
一方で、AI予測に過度に依存すると、実際の顧客行動との乖離が起きる可能性もある。
データの偏りや予測モデルの過学習といった課題に対しては、今後の運用実績の蓄積とフィードバックによる精度向上が求められるだろう。
今回の機能拡張は、国内EC事業者のデータ活用を高度化させる一歩であり、マーケティングにおけるAI導入の実用フェーズが、本格化しつつあることを示しているといえる。
※LTV(顧客生涯価値):顧客が取引期間中に企業にもたらす累積利益の推定値。EC・サブスクリプション業界などで注目される指標。