韓国、求人3%減 IT・建設・教育で採用急減、AIと景気に影響か

2025年6月14日の報道によると、韓国の求人プラットフォーム「キャッチ」が、2025年上半期(2〜4月)の求人公告数が前年同期比で約3%減少したと発表したという。
特にIT・通信、建設・土木、教育・出版の3業界で深刻な減少が見られ、AI導入や景気低迷などの構造的要因が背景にあると分析されている。
IT・建設・教育の3業界で2桁減 AI活用・人口動態・景気要因が採用に直撃
キャッチの調査によると、2025年上半期の求人公告数は1万9940件で、2024年同時期の2万483件と比較して約3%減少した。
中でもIT・通信、建設・土木、教育・出版の3業界で大幅な縮小が確認された。
IT・通信業界は、2024年の5519件から5013件へと約9%減少。
特に新卒採用は961件から915件へと5%減となり、キャリア採用(-3%)よりも減少幅が大きかった。
背景には、ChatGPTなどのAIツールが企業活動に浸透する中で、単純業務への人材ニーズが減少し、高度なスキルを持つ中堅人材の採用にシフトする傾向があると思われる。
建設・土木業界はさらに深刻で、求人数は546件から374件へと-31%の急減。
新卒(-11%)・キャリア採用(-24%)のいずれも減少しており、国内景気の停滞と建設需要の縮小が複合的に影響しているようだ。
教育・出版分野も昨年の767件から559件へと-27%の減少を見せた。
学齢人口の減少に加え、AI教材の導入やオンライン学習環境の普及が人員削減につながっているとみられる。
AIと景気動向で採用に明暗 今後の回復には不透明感も
一方で、すべての業種が減少したわけではない。
メディア・文化業界は前年から30%増加し、販売・流通は8%、銀行・金融は6%と求人が拡大した。
これらの業種はデジタル対応の加速やサービス業の再開による人手需要の回復が寄与していると考えられる。
今回の減少傾向について、キャッチのキム・ジョンヒョン本部長は「2025年上半期はAI導入などさまざまな要因により主要業界の採用がやや縮小した時期だった。
下半期は景気回復を含めた外部環境の変化によって採用市場の動きがどう展開されるか注視する必要がある」と分析している。
ITや教育といった業界では、AIによる業務効率化が継続的に進むことで、人材需要が一部限定されるリスクがある。
そのため、AIに置き換えられない専門職や、創造性を伴う職種の重要性が高まる可能性が高いだろう。
今後は、新卒採用の縮小が若年層の雇用不安や就職氷河期の再来を招く懸念もあると考えられるため、企業・政府双方による柔軟な人材育成と労働市場改革が求められる局面にあるといえる。