点字ブロックを読み取りAIが音声案内 仙台で視覚障害者向けアプリの講習会を開催

2025年6月11日、日本盲導犬協会は、仙台市泉区で視覚障害者向けの歩行支援講習会を開催した。
参加者はAI音声案内を搭載したアプリなど、最新技術を体験したようだ。中でも、点字ブロックの情報をスマホで読み取り、進行方向を音声で案内する技術に注目したい。
AI音声で歩行支援、視覚障害者が仙台で体験
講習会は、日本盲導犬協会が視覚障害者の歩行支援を目的に初めて実施したもので、市内在住の9人が参加した。
会場では、スマートフォンを活用した5つの支援技術が紹介された。
中でも注目したいのが、点字ブロックをスマホアプリで読み取り、位置情報や進行方向をAIが音声で案内するシステムである。
この技術は、点字ブロック上の突起部分に取り付けたマークをコード化し、アプリを通じて情報を取得する仕組みである。
周囲の施設や工事中の区画といったリアルタイム情報を、視覚情報に頼らずに得られる点が特徴だ。
実際に体験した参加者からは、「うまく利用すれば生活が楽になり向上する」「現在工事中の情報など、リアルタイムの情報を入手することができた」といった前向きな声が寄せられた。
日本盲導犬協会の大谷孝典氏は「目が見えない、見えにくい人にとっての移動に役立つもの(アプリ)が出てきているが、情報として知れ渡っていない」と指摘している。
情報格差が課題、普及へは支援と啓発が鍵に
今回の実証により、視覚障害者の移動支援におけるAIの有効性があらためて示されたといえる。
AI音声によるナビゲーションは、従来の白杖や盲導犬では把握しにくいリアルタイムの状況を補完できる点で、日常生活の自由度を大きく広げる可能性がある。
しかし、こうした技術の利用にはスマートフォンの操作スキルや専用アプリの導入が前提となる。
高齢の視覚障害者やICTに不慣れな人にとっては、導入のハードルは依然として高いだろう。さらに、地域インフラ側の対応、たとえばマークの設置や保守にも課題が残ると考えられる。
また、大谷氏が指摘した通り、便利な技術があっても「知られていない」こと自体がバリアとなる可能性が高い。
日本盲導犬協会は、今回のような講習会を通じて、今後も認知拡大に努めるのではないだろうか。それに伴い、自治体や民間企業による支援と連携の重要性も増していくだろう。
技術の進化と同時に、使い手の立場に立った情報共有と支援体制の整備が求められる段階に入っていると言えそうだ。