衣料上場企業ANAP、ビットコイン事業を本格化 BTC建て増資80億円調達も発表

2025年6月9日、国内衣料上場企業ANAPホールディングスは、子会社を通じてビットコイン(BTC)事業を開始すると発表した。
中長期保有と取引を柱に1000BTC以上の保有を目指すほか、国内初となるビットコイン建ての増資も実施する。
ANAP、ビットコイン1000BTC超保有を計画 トレーディングやブランド展開も
ANAPホールディングスは、連結子会社ANAPライトニングキャピタルを通じて、暗号資産ビットコインの保有・取引事業に乗り出す。
5月時点で102BTCを既に保有しており、2025年8月期末までに1000BTC以上に拡大する方針を示した。
戦略の中核となるのは、トレジャリー運用による中長期的な保有と、BTCおよびデリバティブ(※)取引による収益機会の創出だ。
価格変動リスクを前提にリスク管理体制を構築しながら、機動的な取引を行うとしている。
さらに、ビットコインを軸にしたライフスタイルブランドの企画・販売も展開する。
高機能かつデザイン性の高い商品を通じて、国内外の「ビットコイナー(ハイエンドユーザー)」層への浸透を図る。
加えて、BTC決済やマイニング関連の事業にも意欲を見せており、保有資産の戦略的活用を模索していく。
体制面ではグローバル・アドバイザリーボードの設置や国際会議の開催など、ネットワーク強化と人材登用を進める方針だ。
※デリバティブ:仮想通貨や株式などの原資産から派生した金融商品。価格変動を利用して利益を得ることができるが、リスクも高い。
業績回復への起爆剤か BTC建ての増資は初の試み
ANAPは、現在一部事業が再建途上にある中で、ビットコイン事業を新たな成長の柱と位置づけている。
特に注目したいのが、7月の臨時株主総会で承認される見通しの第三者割当増資だ。
この増資では、新株発行に際して一部払込をビットコイン現物で受け付けるという試みが行われる。ビットコインによる増資は初の事例となる。
さらに、割当先となる株式会社キャピタルタイフーンからは、約80億円相当のBTCが拠出される見込みである。
資本の多様化という面から、非常に注目できる事例だ。
株式市場も反応を見せており、ANAPの株価は4月以降上昇している。本稿執筆時点で株価は1114 円を記録している。
市場では、デジタル資産と実業の融合を先導する動きとしての期待が高まっているようだ。
一方で、BTC価格が企業財務に与える影響や、事業の持続性に対する懸念も拭えない。
成長軌道に乗せるには戦略と執行力が問われるだろう。
関連記事:https://plus-web3.com/media/anapbitcointuikakounyuu20250529/