HubSpotがChatGPTと連携する新機能を発表　CRMデータをAIで高度分析可能に

2025年6月5日、CRM（顧客関係管理）プラットフォームを展開する米HubSpotの日本法人HubSpot Japanは、ChatGPTと連携する新機能「HubSpot deep research コネクター」の提供開始を発表した。
顧客データのAI分析を可能にするCRMツールで初の機能であり、中小企業のデータ活用促進が期待されている。

HubSpotがChatGPTとの連携機能を公開

HubSpot Japanは、OpenAIが提供する対話型AI「ChatGPT」とCRMを連携させる新機能「HubSpot deep research コネクター」の提供を始めた。
ChatGPTの有料プランにアクセスできるすべてのHubSpotアカウントで利用可能となる。

この機能により、ユーザーはHubSpotに蓄積された顧客データをChatGPT経由で高度に分析・調査することができる。
具体的には、ChatGPT上で「最もコンバージョン率の高いリードセグメントを抽出し、それに基づいた自動Eメールワークフローを提案してほしい」といった複雑な指示も可能となる。

利用には、管理者がHubSpotを「Deep Research」のデータソースとして認証し、各ユーザーが設定をオンにする必要がある。
これにより、マーケティング・営業・カスタマーサポートといった各部門が、独自にAIを活用した意思決定を行えるようになる。

HubSpotはすでに自社顧客の75％以上がChatGPTを使用していると明かしており、今回の連携はこうしたニーズに応える形で開発された。

中小企業でも使えるAI分析基盤に　利便性とリスクの両面に注目

今回の新機能により、特にリソースの限られた中小企業や小規模チームが、専門的なデータサイエンティストに依存せずとも高度な分析を実施できるようになる。
意思決定の迅速化や業務効率の向上が見込まれ、AI活用の裾野を広げる可能性がある。

一方で、リスクも存在する。ChatGPTとの連携により、社内データの取り扱いや外部送信に対する情報管理の徹底が求められる。
HubSpot側では認証やアクセス制御の導入でセキュリティに配慮しているものの、利用者側での管理体制強化が今後の普及を左右するだろう。

さらに、AIに依存した意思決定が進むことで、現場担当者の分析能力や判断力が低下する懸念もある。
こうした技術と人間の役割分担をどう最適化するかが、今後の運用課題になると考えられる。

とはいえ、今回のHubSpotの取り組みは、CRMと生成AIの統合活用という新たな潮流を象徴する動きであり、他社の追随や市場拡大につながる可能性があるだろう。