州政府へのビットコイン支払いを容認 カリフォルニア州議会下院で法案可決

2025年6月4日、米カリフォルニア州議会下院は、州政府によるビットコイン(BTC)などの暗号資産での支払い受け入れを可能にする法案「AB1180」を全会一致で可決した。
法案は上院に送られ、可決されれば2026年7月1日から施行される見通しだ。
暗号資産支払いを政府が受け入れへ、法案「AB1180」が下院通過
カリフォルニア州議会下院は、ビットコインをはじめとする暗号資産での州政府への支払いを可能とする法案「AB1180」を、68対0の全会一致で可決した。
提出者はバレンシア議員で、州の金融保護・革新局(DFPI)に対し、仮想通貨を使った公的支払いを実現するための規制整備を義務づける内容となっている。
同法案では、2026年7月1日から2031年1月1日までの試験期間にわたり、特定の州政府支払いに対して暗号資産の使用を認める。
その間、カリフォルニア州金融保護・革新局(DFPI)は暗号資産での取引件数や取引額、技術的課題、規制対応の進捗などを詳細に調査し、2028年1月1日までに州議会に報告書を提出することが求められる。
この動きは、全米において州政府が暗号資産の活用を模索する潮流の中で注目を集めている。
たとえばテキサス州では、州政府が自らビットコインを準備資産として保有する法案が可決され、アリゾナ州やニューハンプシャー州に続く3州目の「ビットコイン保有州」誕生が目前となっている。
暗号資産の公的活用、メリットと規制課題の両にらみ
AB1180法案が施行されれば、同州が策定したデジタル金融資産法(DFAL)に基づき、行政手数料や税金などの一部をビットコインで支払える道が開かれる。
これは、州政府による暗号資産の受け入れとしては全米でも先進的な試みであり、今後の規制モデルとして注目されている。
企業や個人にとっては、法定通貨以外の手段で公共料金を支払える柔軟性が高まる点で利便性向上が期待される。
また、Web3関連事業者にとっては、州政府の暗号資産受容姿勢が誘致効果を持つ可能性もある。
一方で、技術的インフラや価格変動リスク、マネーロンダリング対策といった課題も山積みだ。
暗号資産の送金遅延やトランザクション手数料の高騰が行政手続きに支障をきたす恐れも否定できず、慎重な運用設計が求められる。
法案は時限的措置として約5年間に限定されており、その間に実効性や影響範囲を検証する必要がある。
今後の上院審議では、こうした利点とリスクをどうバランスよく調整するかが焦点となるだろう。