2026年3月4日、公正取引委員会は米マイクロソフトおよび関連会社による独占禁止法違反の疑いについて審査を開始したと発表した。
あわせて、クラウドサービスの契約条件に関する第三者からの情報・意見募集も開始している。
公取委、マイクロソフト審査開始
公正取引委員会は、マイクロソフト・コーポレーション、日本マイクロソフト株式会社、Microsoft Ireland Operations Limitedの3社による独占禁止法違反の疑いについて審査を開始したと発表した。
あわせて、本件に関する第三者からの情報・意見募集を開始している。
対象となるのは、Windows Server、Windowsクライアント、Microsoft SQL Server、Microsoft 365、Visual Studioなどのソフトウェアやサービスのライセンス契約である。
公取委は、これらの製品の利用条件がクラウドサービスの選択に影響を与えている可能性について調査を進める。
具体的には、これらのサービスを利用する企業が、マイクロソフトのクラウドサービスであるAzure(※)と競合するクラウドサービスと組み合わせて利用することを認めない、あるいはAzureで利用する場合より金銭的負担が高くなる契約条件を設定している疑いがあるとされる。
公取委は、このような条件が競合クラウド事業者の取引獲得を妨げている可能性があるとして、審査を開始した。
今回の意見募集は、デジタル化など社会経済の変化に対応した競争政策の強化方針に基づき、個別事件の審査初期段階で実施されるものだ。
情報・意見の提出対象には、SIerやクラウドサービス利用企業などが含まれる。
提出の際には、利用している製品や競合クラウドサービスの名称、具体的な契約条件などを記載することが求められている。提出期限は2026年5月29日18時までとされている。
なお、公取委は今回の審査開始および意見募集の実施が、独占禁止法違反の行為が存在することを意味するものではないとも説明している。
※Azure:マイクロソフトが提供するクラウドコンピューティングサービス。企業や組織がサーバー、データベース、AIなどのIT基盤をインターネット経由で利用できるプラットフォーム。
クラウド競争ルールの焦点に
今回の審査は、ソフトウェアとクラウドサービスが一体化する現在のIT市場において、競争ルールをどのように設計するかという問題を浮き彫りにするものといえる。
企業向けITでは、OSやデータベース、開発ツールなどのソフトウェアとクラウド環境が密接に連携しているとされる。
もし特定クラウドとの組み合わせを事実上優遇する契約条件が存在すれば、ユーザー企業のクラウド選択に影響が及ぶ可能性がある。
一方で、ソフトウェアとクラウドを統合的に提供するモデルは、運用効率やセキュリティを高めるという利点も持つだろう。
そのため、競争制限に当たるかどうかは、技術的な合理性と市場競争への影響をどのように評価するかが焦点になると考えられる。
今回の審査が進むことで、クラウド市場における契約条件やライセンス体系の透明性が議論される可能性がある。
企業ユーザーにとっては、複数クラウドを組み合わせて利用する環境の自由度やコスト構造にも関わるテーマであり、今後の議論の行方が注目される。
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