2026年3月1日、韓国メディアKOREA WAVEは、韓国消費者院の調査として、肥満治療薬に似た効果をうたう一般食品に根拠のない広告が横行していると報じた。AI生成の偽医師を使った誤認表示も確認された。
GLP-1便乗の不当広告が横行
韓国消費者院は、市場で販売されているダイエット標榜食品16製品を調査した。その結果、いずれも体重減少効果を裏付ける客観的根拠は乏しく、不当表示が認められたと発表している。対象は飲料や加工食品などの一般食品であり、医薬品ではない。
しかしオンライン販売ページでは「GLP-1促進」「飲むウゴービ」などと表示し、肥満治療薬と同様の作用があるかのように訴求していた。16製品のうち14製品は錠剤型で販売され、外観も医薬品に近い形態である。消費者が治療薬と誤認する可能性は高いと指摘された。
さらに5製品では、AIで生成した架空の医師やインフルエンサーの画像を広告に使用していた。実在しない人物や医療機関、偽のSNS投稿まで作り込み、専門家の推薦があるかのように演出していたという。
成分分析の結果、体重減少に直接寄与する成分は全製品で確認されなかった。「満腹感の持続」を掲げた4製品にはセルロースやグルコマンナンなどの食物繊維が含まれていたが、1日摂取量は0.9〜3.2グラムにとどまる。一方、食品に使用できない医薬品成分は検出されなかった。
※GLP-1:食後に分泌される消化管ホルモン。血糖値の上昇を抑える作用や食欲抑制効果があり、近年は肥満治療薬の有効成分として注目されている。
AI広告時代の信頼設計と課題
今回の事案は、生成AIの普及が広告の信頼性に与える影響を示唆する事例と考えられる。画像や肩書きを容易に生成できる環境では、専門家らしさを演出するコストが下がるとみられる。その結果、消費者が真偽を見極めにくくなる可能性は否定できない。
一方で、AI活用は広告制作の効率化やコスト削減に資する側面も持つ。適切な表示ルールと透明性が確保されれば、マーケティング高度化につながる余地もある。課題は技術そのものよりも、運用やガバナンスの設計にあるとの見方もできる。
韓国消費者院は販売中止と広告是正を勧告し、当局に制度整備を求めた。今後は食品表示制度の明確化に加え、AI広告の開示義務や認証制度の導入が議論される可能性がある。ヘルスケア市場では、規制とイノベーションの均衡の在り方が重要な論点になりつつある。
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