2月23日、韓国のKBS、MBC、SBSの地上波3社が、生成AI「チャットGPT」を運営する米オープンAIを相手取り著作権侵害訴訟を提起した。ニュース無断利用を巡る法的責任を問うもので、韓国メディアがグローバルAI企業を直接提訴するのは初めてである。
地上波3社、無断学習で提訴
提訴したのはKBS、MBC、SBSの3社である。対象はOpenAIが商業提供する対話型AI「ChatGPT」だ。各社は、自社ニュースコンテンツがAIの学習過程で無断利用され、サービス上にも表示されていると主張している。
韓国放送協会は、ニュースは地上波の核心的資産であり成果そのものだと強調した。その大量利用は知的財産権の侵害に当たるとし、差し止めと損害賠償を求めている。また、オープンAIが一部海外報道機関と有料ライセンス契約を締結している事実に言及し、適法な利用の必要性を十分認識しているはずだと指摘した。
一方で、地上波3社との交渉には応じず、差別的な著作権方針を維持していると批判している。個別の創作者や著作権者が訴訟費用や立証責任の壁からビッグテック企業を相手取りにくい現実も踏まえ、今回の訴訟は権利保護の前例を示す狙いがあるとしている。
補償モデル確立か、AI革新への影響か
今回の動きは、生成AIと報道機関の関係を再定義する契機となる可能性がある。大規模言語モデルは膨大なテキストを学習することで高度化してきたが、学習データの対価や透明性は国際的に議論が続くテーマである。司法判断の内容次第では、AI企業がライセンス契約の拡充やデータ管理体制の明確化を迫られる展開も想定される。
仮に正当な補償体系が整備されれば、AI産業とジャーナリズムの持続的な共存モデルが模索される局面に入る可能性もある。コンテンツ提供者に収益が還元される枠組みが広がれば、報道機関側の持続性強化につながるとの見方もできる。
一方で、訴訟の長期化や規制強化が進んだ場合、開発コストの上昇やサービス設計への影響が生じる懸念もある。各国で同様の動きが広がれば、データ主権を巡る議論が一段と活発化する可能性も否定できない。革新と権利保護の均衡点をどこに置くかは、今後の重要な政策・競争テーマの一つになると考えられる。
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