AI事業者に広がる選択肢 東急不動産が石狩・大手町間にIOWN実装へ

2026年2月6日、東急不動産は北海道石狩市で開発中の再エネ型データセンターにおいて、東京・大手町との間でIOWN通信基盤を導入すると発表した。
再生可能エネルギー100%で運用する高速・低遅延通信環境を整備する計画である。
石狩再エネDCにAPN初導入
東急不動産は、2026年3月竣工予定の「石狩再エネデータセンター第1号」に、NTT東日本が提供するIOWNのAll-Photonics Network(APN)を同年8月に導入する予定だ。
同社によると、北海道石狩市と東京・大手町を結ぶ広域区間での実装は初の事例とされる。
同施設は延床面積約11,093㎡、受電容量15MW、6区画で構成される計画である。
東急不動産とFlower Communicationsが他投資家と共同出資し、両社がプロジェクトマネジメントを担う。運営電力は自社および出資先が発電する再生可能エネルギー100%で賄う方針だ。
IOWNの導入により、高速・大容量・低遅延・低消費電力の通信環境を構築できるとされる。東京の既存拠点と隣接するかのような運用環境を実現し、生成AIやデジタルツイン、DR用途、ランサムウェア対策まで多用途での活用を想定している。
背景には、AI需要拡大に伴うデータセンター消費電力の急増がある。
2030年度の国内データセンター消費電力は2022年度比で2倍以上、2050年度には5倍超に拡大する見通しとされる。
一方、関東圏・関西圏の特定エリアでは電力不足への懸念があり、国もDCの地方分散を推進している。
分散化とGXを両立できるか
今回の実装は、電力制約が強まる都市部から計算資源を分散させる現実的な解となり得る。
低遅延接続が担保されれば、AI学習や推論処理を地方側で実行しつつ、都市部と同等の利用体験を提供できる可能性がある。
再エネ100%運用と組み合わせることで、環境負荷低減の観点でも優位性を持つだろう。
一方で、広域光ネットワークの整備や維持には相応の投資が伴うとみられる。利用企業が十分に集積しなければ、コスト回収には時間を要する恐れもある。
加えて、通信インフラへの依存度が高まる点も、事業継続計画上の検討課題となるだろう。
それでも、ワットとビットを一体で最適化する発想は、AI時代のインフラ戦略として合理的と考えられる。電力供給余力のある地域と計算需要の高い都市を結び直す動きは、他地域にも波及する可能性が高い。
今後は、生成AIや高性能GPUを前提とした新サービスが地方発で生まれるかが焦点となりそうだ。
単なるバックアップ拠点にとどまらず、分散型コンピューティングの中核へ進化できるかどうかが、次の競争軸になると言える。
関連記事:
データセクションと東急不動産、再生可能エネルギーでAIデータセンター提携

GMO・NTT東西など、IOWN APN活用で分散型AI基盤を実証 福岡-東京間でGPU遠隔接続












