SBI VCトレードがTORICOのETH運用支援 法人の暗号資産活用が実務段階へ

2026年2月12日、日本の暗号資産取引所SBI VCトレードが、東証グロース上場のTORICOに対しイーサリアムの取引・保管・運用支援を開始すると発表した。法人による暗号資産運用が、制度対応を含めた実務フェーズへ移行しつつある。
法人ETH運用支援の連携開始
今回の連携は、TORICOが進めるイーサリアムのトレジャリー事業を実務面から支援するものだ。同社は大口顧客向けサービス「SBIVC for Prime」を活用し、取引・保管・運用を一体で委ねる体制を整えた。大口取引における購入手段の多様さと税制面の支援が評価された形である。
提供される仕組みには、特別スプレッドでのOTC取引(※)や、狙った価格帯で売買を目指す暗号資産オプションが含まれる。加えて、期末時価評価税の適用除外サービスにより、一定条件下で含み益への法人課税を回避できる点も特徴だ。長期保有を前提とした法人運用の実務負担を抑える狙いがある。
TORICOの保有ETHは2026年1月23日時点で1,684.7620ETH、取得総額は約8.2億円で平均取得単価は約48.6万円となる。同社は「日本No.1のイーサリアム運用会社」を掲げ、戦略的な保有と運用を通じて株主価値の最大化と社会実装の推進を目指すとしている。
※OTC取引:取引所を介さず金融機関やブローカーと相対で行う大口売買。市場価格への影響を抑えつつ、柔軟な条件で取引できる手法。
法人運用拡大の利点と課題
法人が暗号資産を戦略資産として組み込む動きは、資金運用の選択肢を広げる可能性がある。価格上昇局面では財務基盤の強化に寄与するケースも想定され、Web3事業との連動を図りやすくなる面もある。金融機関が運用支援を担うことで、内部統制やリスク管理の整備が進む可能性も指摘される。
一方で、価格変動の大きさや会計処理の複雑さ、規制変更の影響は無視できない。短期的な相場の変動が企業財務に影響を及ぼす可能性があり、投資判断の透明性が一層求められる場面が増えることも想定される。税制優遇の前提条件が変化した場合、運用方針の見直しを迫られる可能性もある。
今後は、長期保有を前提としたトレジャリー運用が国内企業にどこまで広がるかが焦点となる。金融インフラと事業会社の連携が進めば、暗号資産の位置づけが投機対象から経営資産へと変化する可能性もある。制度整備と市場成熟が並行して進むかが、普及を左右する重要な要素になるとみられる。
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