サムスン電子が「HBM4」量産・出荷を世界初開始 AIデータセンター需要に対応

韓国サムスン電子が広帯域メモリー(HBM)第6世代「HBM4」の量産と出荷開始を発表した。
生成AI向けに高速・大容量化を図り、出荷日程も前倒しした。
サムスン電子、HBM4を世界で初めて量産・出荷
2026年2月12日、サムスン電子は、生成AIに不可欠とされる広帯域メモリー(HBM)の第6世代製品「HBM4」を量産し、出荷を開始したと発表した。
「HBM4」の量産・出荷の開始は世界で初めてだという。業界最高性能をうたう新製品が市場に投入される。
前世代のHBM開発競争では遅れを取ったとの指摘があり、半導体事業の先行きに対する懸念も取り沙汰されていた。
サムスンは今回、いち早い製品投入で市場の主導権確保に乗り出す構えを示した。
サムスンは当初、旧正月(今年の2月17日)連休直後に出荷を始める計画だったが、顧客との協議を経て約1週間前倒しした。
主要顧客である米エヌビディアの品質テストを早期に通過したとされる点も示された。
HBM4は、業界で唯一の工程技術を採用したとし、JEDEC(※)規格の8Gbpsを上回る最大11.7Gbpsのデータ処理速度に達する。
規格比で37%速く、前世代HBM3Eと比べても22%向上した。
単一スタック当たりの帯域幅は最大毎秒3TBで前モデル比2.4倍、12層の積層技術で最大36GBの容量を実現した。
低消費電力設計により、サーバーやデータセンターの電力消費と冷却コストを削減できるとしている。
※JEDEC:半導体や電子部品の技術標準を策定する電子デバイス技術合同協議会。メモリーの速度や電気特性、信号仕様などの基準を定め、各社が同一仕様で設計・評価する際の共通指標となる。
供給優位の狙いとリスク
サムスンのHBM4の早期量産は、生成AI向け半導体の調達環境に影響を与える可能性がある。
学習・推論の処理量が増えるほど、メモリー帯域幅と容量はボトルネックになりやすいため、高速化と大容量化はシステム設計の選択肢を広げられるだろう。
低消費電力化は運用コストの抑制にもつながり、データセンター側の効率改善が見込まれる。
一方で、HBMは多層積層など工程が複雑で、量産の安定性や歩留まりが供給力を左右しやすい。
性能指標を満たしても、供給の継続性が確保できなければ採用拡大は限定される恐れがある。
前倒し出荷は攻勢を示すが、需要の増減や顧客の評価基準に応じて計画が変動する余地も残りそうだ。
また、主要顧客に対する供給比率が高まるほど、受注動向の変化が売上や投資判断に波及しやすい点は留意点と言える。
競合各社も次世代HBMを投入してくることが予測されるため、性能だけでなく供給の確実性とコストのバランスが、市場での立ち位置を決める要素になりそうだ。
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